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外傷と第Ⅶ因子~結果① [critical care]

Results of the CONTROL Trial: Efficacy and Safety of Recombinant Activated Factor VII in the Management of Refractory Traumatic Hemorrhage

J Trauma 2010年9月号より

結果

中間解析で得た鈍的外傷患者447名の死亡率は、当初予測したよりも低かった。偽薬に対するrFⅦaの優越性を示す際の検出力は11.2%であった(当初設定した閾値は50%であった)。このため、鈍的外傷患者における主要エンドポイントについての結果を得ても無駄である可能性が高いと考え、試験をこの時点で中止した。

対象患者と患者特性

総計573名(鈍的外傷481名、貫通外傷92名)が登録され無作為化割り当ての対象となった。割り当て薬剤は560名(鈍的外傷474名、貫通外傷86名)に投与された(Fig.2)。無作為化割り当ての対象となった患者のうち10名(鈍的外傷5名、貫通外傷5名)は、割り当て薬剤が到着する前に、試験対象としての適格性がないことが判明し除外された。三名(鈍的外傷2名、貫通外傷1名)は割り当て薬剤が到着する前に死亡した。鈍的外傷患者のうち無作為化割り当ての結果rFⅦaを投与された6名は、同意取得に問題があったためITT解析の対象から除外した。鈍的外傷症例ではrFⅦa群221名と偽薬群247名、貫通外傷症例ではrFⅦa群46名と偽薬群40名がITT解析の対象となった。鈍的外傷患者で割り当て薬剤を投与された474名のうち461名について、第90日までの調査を行うことができた(rFⅦa群219名、偽薬群242名)。貫通外傷患者で割り当て薬剤を投与された86名のうち80名について、第90日までの調査を行うことができた(rFⅦa群42名、偽薬群38名)。安全性評価の対象となったのは、鈍的外傷ではrFⅦa群224名、偽薬群250名、貫通外傷ではrFⅦa群46名、偽薬群40名であった。治療ガイドラインの遵守状況が不良であることを理由に登録から外した症例は皆無であった。研究参加施設および研究参加国ごとの被験者の分布は、他の臨床試験で一般的に見られるようなパターンであった。

当初予測したとおり、対象患者の年齢層は若く、大半が男性であった。鈍的外傷、貫通外傷ともに両群の患者基本特性は同等であった(Table 1)。基準時点におけるISS、GCS、血圧、ヘモグロビン濃度、アシドーシスおよび凝固能の指標についても有意差は認められなかった。登録に先立つ赤血球製剤の平均投与単位数は、鈍的外傷症例では両群とも5.6単位、貫通外傷症例ではrFⅦa群5.5単位、偽薬群が5.4単位であった。

教訓 当初予測した死亡率よりも、実際の死亡率が大幅に低かったためこの研究は早期に中止されました。そのため検出力が低いという問題が発生しました。中止までに集積された患者数は計573名です。

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