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外傷と第Ⅶ因子~方法 [critical care]

Results of the CONTROL Trial: Efficacy and Safety of Recombinant Activated Factor VII in the Management of Refractory Traumatic Hemorrhage

J Trauma 2010年9月号より

方法

設計

CONTROL試験(NCT00184548)は2005年8月から2008年9月にかけて行われた多施設前向き無作為化二重盲検偽薬対照比較試験である(26ヶ国150ヶ所の病院が参加)。Figure 1に研究設計の概略を示した。詳しくは別の文献において発表済みである。外傷を負い、赤血球製剤を4単位以上8単位未満投与された時点で活動性の出血を呈する患者を対象とし、rFⅦaの効果と安全性を評価すべく設計された。患者を半数ずつ2組に無作為化割り当てし、一方にはrFⅦa静注し(初回200mcg/kg、初回投与1時間後および3時間後に100mcg/kg)、もう一方には偽薬を投与した。偽薬もrFⅦaも凍結乾燥粉末として用意され、投与前に無菌蒸留水で溶解した。偽薬の成分は、塩化カルシウム、塩化ナトリウム、グリシルグリセリン、マンニトールおよびポリソルベート80である。割り当て薬剤(rFⅦaまたは偽薬)は本研究の後援企業が提供し、患者一人につき一つずつ割り振られた番号が記された箱に入れて、研究に参加した各病院へ届けられた。コンピュータによるブロック無作為化を行い、ブロック一つ一つを各参加施設に割り当てた。各参加施設は、後援企業が用意したシステムを用いて無作為化割り当ての結果をインターネットまたは電話で確認した。データ管理の責任は後援企業が負った。データは症例報告用紙に記録し、研究監督者および各施設の研究関係者の確認後、Novo Nordiskのデータ管理担当者がNovo Nordisk臨床データベースに登録した。

対象患者

18歳から70歳の鈍的または貫通外傷後、赤血球製剤を4単位投与し、止血を図るための標準的な治療の実施にもかかわらず体幹もしくは下肢近位からの活動性出血が続く患者を本研究の登録候補とした。活動性出血と判断する条件は、低血圧の持続(収縮期血圧90mmHg以下)、アシドーシス(乳酸>6mmol/LまたはBE -5mEq/L以下)またはバイタルサインを維持するのに1L/hr以上の輸液を要する場合とした。瀕死、重症脳傷害(AIS 4点以上またはGCS 5点以下)、無作為化割り当ての時点で受傷後12時間以上が経過または病院到着から4時間以上経過の場合は除外した。

エンドポイントと安全性の評価

有効性に関する主要エンドポイントは2段階に分けて設定した。第一段階の主要エンドポイントは、鈍的外傷の全死因30日後死亡率における優越性とした。第一段階の主要エンドポイントに該当しない場合は、第二段階の暫定主要エンドポイントである死亡率および重大な合併症についての非劣性を適用した。第30日時点における肺もしくは腎機能障害を重大な合併症とした。予め設定した二次エンドポイントは、割り当て薬剤投与24時間後および48時間後における赤血球製剤、新鮮凍結血漿(FFP)、血小板、クリオプレシピテート、フィブリノゲン濃縮製剤および全ての同種血液製剤の投与単位数および赤血球製剤の大量投与(10単位以上)を要した患者数とした。その他のエンドポイントは、多臓器不全または単一臓器不全発症患者数、第30日までの生存日数のうち多臓器不全または一臓器不全のない日数、ICU非在室日数、退院日数、人工呼吸and/or腎代替療法非実施日数とした。AISスコアはCT所見をもとに算出した。外傷センターの外科指導医または脳神経外科指導医がCTを読影しその評価を行った。重症有害事象の評価は第90日まで実施した。対象事象は、血栓塞栓性合併症、DIC、死亡、敗血症または敗血症性ショック、多臓器不全、ALI/ARDSである。

患者管理と監視

施設ごとの治療方針のばらつきによって主要エンドポイントおよび二次エンドポイントに影響が及ぶのを防ぐため、エビデンスに準拠したガイドラインおよびプロトコル(補遺参照)の遵守を義務づけた。出血制御または創部洗浄を目的とする手術は当初24時間に限ってのみ実施することにした。解剖学的and/or機械的機能の修復を目的とする手術は血行動態が安定するまでは実施不可とした。このやり方は「ダメージコントロール」手術と称されている。状態が安定している患者に対しては、エビデンスに裏付けられた適応に当てはまる場合以外は血液製剤の投与を禁止した。一方、出血があり状態が不安定な患者に対しては、予測的な血液製剤の使用を躊躇することのないよう明記した。エビデンスに準拠した人工呼吸管理(離脱試験を毎日行うことなど)を実施することにした。本研究とは無関係なVanderbilt Coordinating Centerの専門医が以上の治療方針の実施様態を確かめ、割り当て群や治療ガイドラインの遵守状況を当該施設へ直ちにフィードバックした。Vanderbilt Coordinating Centerの調査によって是正が必要であると判断された施設に対しては再教育を行った。遵守状況が不良であれば再教育が行われ、場合によっては当該施設における試験は中止することにした。

教訓 鈍的または貫通外傷で4~8単位の赤血球製剤を投与された患者が対象になりました。主要評価項目は鈍的外傷の全死因30日後死亡率でした。

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