Dopamine versus norepinephrine in the treatment of septic shock: A meta-analysis
Critical Care Medicine 2012年3月号より
考察
敗血症性ショック患者にドパミンを投与すると、ノルエピネフリンを投与した場合と比べて死亡リスクが増大することが今回の系統的レビューで明らかになった。また、ドパミンを使用すると不整脈発生リスクも高くなることが分かった。しかも、De Backerらが行った研究のサブグループ解析では、心原性ショック患者においてノルエピネフリン群よりドパミン群の方が死亡リスクが高いという結果が示されているが、これは今回の我々が得た結果と一致している。
このメタ分析の結果はVasuらのレビューと合致するが、Havelらの研究とはやや異なる。点推定の集積値はいずれの研究も同じような傾向を示し、我々の研究とVasuらの研究(RR, 1.10; 信頼区間, 1.01-1.20)ではその値が有意であったが、Havelらの研究では有意ではなかった(RR, 1.05; 信頼区間, 0.97-1.15)。ここで注意しなければならないのは、我々の研究以外の二編のレビューでは敗血症性ショック以外のタイプのショック患者も対象として解析している点である。ドパミンによって死亡リスクが上昇する心原性ショック患者をも対象としたことが、Vasuらの研究結果に影響を及ぼした可能性がある。Havelらのレビューでも心原性ショック患者が対象として含まれたものの、De Backerらが行った研究の対象となった1036名の12ヶ月後転帰を解析対象データとしたに過ぎないという問題点がある。その上、HavelらはMathurらの研究で示された生存率の逆数をとって死亡率として扱っているが、こういうことをすると帰無仮説が真であるという結果が得られやすくなる。我々の研究では、敗血症性ショック患者に対象を絞り込み、各試験の主要転帰項目評価時点に留意した。そして、前述のように先行研究で示された一般的傾向を追認するとともに、敗血症性ショックという