研麻抄
敗血症性ショックの治療におけるドパミ..

世の関心を集める疾患の患者群についての新規かつ重要な知見を示すことができた。

介入研究と観測研究を比較したところ、興味深い結果が得られた。観測研究を対象とした解析でドパミン群とノルエピネフリン群のあいだに転帰の差が認められなかったのは、各研究の結果と研究デザインにかなり大きな異質性があったことが主な要因である。大半の観測研究において、異なる色々な昇圧薬が代替対照薬とされていた。このため余計に研究間のばらつきが広がり、比較が難しくなった。ドパミンのみを投与された患者とノルエピネフリンのみを投与された患者とでは様相が異なる。なぜなら、ドパミンよりもノルエピネフリンの方が昇圧作用が強力で、ドパミンとは違って患者の示す反応が比較的一定していてばらつきが少ないからである。したがって、昇圧薬を一種類のみ投与された患者と、複数種類投与された患者とでは、もともとの重症度に差がある可能性があり、そうであるとすればドパミン群とノルエピネフリン群の比較は一層難しくなる。とは言え、多変量解析やマッチング解析を実施した複数の観測研究において、ノルエピネフリン群よりドパミン群の方が死亡リスクが高いという結果が得られている。異質性の主犯となった研究を除外して解析した場合、ドパミン投与による死亡リスク増大の程度が観測研究と介入研究とで同等であったことは注目に値する。

本研究の最大の強みは、主要データベースを用いて言語による制限をせずに網羅的文献検索を行ったため、該当研究を取りこぼした可能性が低いことである。臨床試験登録や2005年から2010年に開催された主要学会の抄録からは本研究の解析対象となる試験は見つからなかった。先行するVasuらおよびHavelらのメタ分析とは異なる単語を用いて検索を行ったが、結局彼らが対象としたのと同じ臨床試験に行き着いた。他にも、対象患者の合計数が比較的多かったことや、先行研究とは違って敗血症性ショック患者のデータのみを対象としたことが本研究の長所である。

教訓 先行研究では、心原性ショック患者においてドパミンはノルアドレナリンよりも死亡率を上昇させることが明らかにされていますが、敗血症性ショック患者でも同様の結果が得られました。
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(critical care)12-03-29 07:03


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