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外傷患者に対するトラネキサム酸の早期投与~方法 [critical care]

The importance of early treatment with tranexamic acid in bleeding trauma patients: an exploratory analysis of the CRASH-2 randomised controlled trial

THE LANCET 2011年3月26日号より

方法

研究デザインと対象患者
CRASH-2試験の背景、方法および無作為化割り当て対象患者の背景因子については、すでに報告済みである。ここでは手短に内容を紹介するにとどめる。重大な出血を呈するかそのリスクがあり受傷後8時間以内の成人外傷患者20211名を、トラネキサム酸群(初回1gを10分かけて静注し、引き続き1gを8時間かけて持続投与)または偽薬群に無作為に割り当てた。無作為化割り当て対象患者の99.6%について追跡が行われた。研究に参加した医師やスタッフには割り当て群は知らされなかった。

統計解析
主要転帰項目は受傷後4週以内の院内死亡とし、死因は以下のいずれかに分類して記録した:出血、血管閉塞(心筋梗塞、脳卒中、肺塞栓)、多臓器不全、頭部外傷、その他。

いずれの解析にもITT解析を適用した。トラネキサム酸が出血による死亡におよぼす影響について、基準時点における次の4つの特性について分類して検討した:(1)受傷から割り当て薬投与までの時間(1時間以下、1時間を超え3時間まで、3時間を超える);(2)収縮期血圧からみた出血の程度(75mmHg以下、76mmHg~89mmHg、90mmHg以上);(3)GCS(重症3~8点、中等症9~12点、軽症13~15点);(4)受傷機転(貫通外傷のみ、鈍的外傷、鈍的外傷+貫通外傷)。以上のサブグループは、当初のCRASH-2試験で予め設定されたものと同じであるが、評価する転帰項目は異なり、本研究では全死因死亡率ではなく出血死亡率とした。

χ二乗検定によってサブグループ間の治療効果のばらつきを評価した。サブグループの如何に関わらず効果は一定であるという帰無仮説を覆すような強力な(p<0.001)エビデンスが得られない限り、全対象患者についてのRRが、すべてのサブグループのRRに近い最も当てになる指標となると考えた。観測されたあらゆる交互作用が独立したものであるかどうかを検定するため、基準時点における予め設定した4つの特性と割り当て群のあいだで起こりうるすべての交互作用を想定したロジスティックモデルを当てはめた。

出血死を従属変数、割り当て群および割り当て薬投与までの時間を探索的因子としてロジスティック回帰分析を行った。受傷から治療開始までの時間が長くなるに従いオッズ比(OR)が比例的に変化することを見越して相互作用パラメータを加えた。治療開始までにかかった時間の違いによるオッズ比と95%信頼区間を算出した。信頼区間は、時間を連続変数とし、治療開始までの時間とトラネキサム酸の関係を交互作用項としてロジスティックモデルを用いて算出した。また、治療開始までの時間が長くなるに従いオッズ比が比例的に変化すると予測されることを踏まえ、治療開始までの時間の平方根を交互作用項としたモデルを用いた解析も行った。

教訓 重大な出血を呈するかそのリスクがあり受傷後8時間以内の成人外傷患者20211名を、トラネキサム酸群(初回1gを10分かけて静注し、引き続き1gを8時間かけて持続投与)または偽薬群に無作為に割り当てました。トラネキサム酸が出血による死亡におよぼす影響について、基準時点における(1)受傷から割り当て薬投与までの時間 (2)収縮期血圧(出血の程度の代わり)(3)GCS (4)受傷機転 の4つの特性について分類して検討しました。
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