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夏休み [misc]

いつもご訪問いただき、ありがとうございます。本日から8月末(予定)まで夏休みをとることにしました。しばらく更新はお休みします。再開時には、またご贔屓下さい。

先日、ボスが大絶賛&強力推薦する「ヨブへの答え」(C.G.ユング著、林道義訳;みすず書房)を読んでみました。旧約聖書の「ヨブ記」を題材に、ユングが精神分析的アプローチにより神(ヤーウェ)の真の姿をあぶり出す痛快な本でした。ヨブ記というのは、ヨブという信心深い義人に対し、神が信仰心を試すという名目で「私は神だ!どうだまいったか」と執拗に暴虐の限りを尽くすお話です。ユングによると、ヨブ記成立前後における神(正確には、人々の持つ神という集合的イメージ)は、自分勝手で幼くて傍若無人で悪魔の囁きに簡単に乗せられる、軽率で克己心のかけらも感じられない存在だったようです。ユングが精魂込めて紡ぎ出した大変まじめな本なのですが遠慮会釈ない表現の数々に、読みながら吹き出してしまいました。そして、「子供たちを責めないで」(秋元康作詞)という昔ちょっとはやった歌の一節を思い出しました。「子供は幼稚で 礼儀知らずで 気分屋で 前向きな姿勢と 無いものねだり 心変わりと 出来心で生きている 甘やかすとつけあがり 放ったらかすと悪のりする」という部分です。ヨブをいじめた神とそっくりです。私はスペイン系カトリック幼稚園およびドイツ系カトリック中学・高校に通いキリスト教教育を受けましたが、キリスト教に親しみを持つには至りませんでした。しかし、神という概念や聖書がこんなにおもしろいものだということを見直し「ヨブへの答え」を楽しく読めるのは、過去に受けた教えのおかげです。キリスト教とか神について関心がない方でも、人間の精神や心理に興味があれば、この本は刺激的だと思います。

天気予報によると残暑は厳しくなりそうです。皆さま、くれぐれもご自愛ください。ごきげんよう。ご武運をお祈りします。

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仕事納め2011 [misc]

いつもご愛読いただき、ありがとうございます。多くの方のご訪問のおかげで、休みながらも本ブログは命脈を保っています。そして私の属する麻酔科は、この一年も大過なく麻酔と集中治療の責務を皆で果たすことができました。天佑のたまものです。小成に安んずることなく、来る2012年もさらなる進化と向上を目指し、何事にも積極一貫で取り組もうと思います。

平成二十三年が終わります。我が国にとって実に多事多難な一年でした。オリンパス社の粉飾決算問題について第三者委員会がまとめた報告書には同社が「悪い意味でのサラリーマン根性の集大成」の腐った状態であったと記されていると報じられています。「サラリーマン根性」は元来悪い意味の言葉であるはずなので、「悪い意味での」という表現が奇妙に感じられます。屋上屋を架しているような印象です。サラリーマンを侮辱/差別しているという批判が生ずるのを顧慮して、機先を制するためにとってつけたように「悪い意味での」という形容を冠したのではないかと感じられます。そういうせせこましさがまさにサラリーマン根性なんだよ!と意地悪を言いたくなりますが、それはともかく、サラリーマン根性の集大成で腐った状態なのはオリンパス社だけにとどまらないような気がします。あの報告書は、図らずも日本全体に向けられた痛烈な批判なのかもしれません。

神明は唯平素の鍛練に力め、戦はずして既に勝てる者に勝利の栄冠を授くると同時に、一勝に満足して治平に安ずる者より直に之を奪ふ。
古人曰く、勝って兜の緒を締めよと。      
連合艦隊解散の辞より

皆さん、清々しく健やかな新年をお迎えください。ごきげんよう。

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