研麻抄
人工呼吸中の鎮静と鎮痛~鎮痛②

以外のオピオイド受容体は、呼吸抑制や鎮静作用の発生に関わっている。オピオイドは二酸化炭素反応曲線を右方偏位させる。典型的には、一回換気量が維持されて呼吸回数が減るという呼吸パターンの変化を呈する(「ゆっくりした深い呼吸」と称されることがある)。ベンゾジアゼピンによる呼吸抑制(後述)の様態とは異なっている。オピオイドは一般的に肝臓で代謝され、腎臓によって排泄される。モルヒネの代謝産物はオピオイド活性を有するため、腎不全患者では蓄積が懸念される。したがって、腎機能が正常である場合を除けば、ICUにおいてモルヒネを選択するのは妥当とは言い難い。ハイドロモルフォンの力価はモルヒネの5~10倍で代謝産物には活性がないが、ハイドロモルフォン事態が腎不全では蓄積して血中濃度が高くなってしまうおそれがある。フェンタニルは脂溶性なので短時間で作用が発現するが、脂溶性であるがゆえに脂肪組織に蓄積するという薬力学的特徴を持つ。フェンタニルを中断することなく持続静注し続けると、中止しても作用が遷延する可能性がある。ただし、フェンタニルには腎から排泄される代謝産物はない。レミフェンタニルは新しく登場したオピオイドで、速やかに効果が発現し、血中に存在する非特異的な酵素によって活性のない産物に代謝されるため、肝不全や腎不全であっても薬力学的特性に変化は生じない。ICU患者を対象として各種オピオイドを直接的に比較した無作為化比較対照試験はほぼ無きに等しい。だが、モルヒネやフェンタニルと比較するとレミフェンタニルは、鎮痛作用の遷延が起こりにくく鎮静薬必要量が減る可能性があることが分かっており、有望視されている(Table 2)。ただし、レミフェンタニルを含むあらゆるオピオイドは、投与期間が長引けば耐性が生ずることがある。耐性が出現すると、投与開始と同程度の鎮痛効果を得るには投与量を増やさなければならなくなる。さらに、オピオイドは痛覚過敏を引き起こすことがある。レミフェンタニルのような短時間作用性のオピオイドは特に痛覚過敏を起こしやすい。中国で行われた手術患者を対象とした大規模研究で、レミフェンタニルによる痛覚過敏は16歳以上、投与量30mcg/kg以上、および2時間以上の手術のいずれかに該当する場合に生じ
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(critical care)12-06-14 07:00


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