研麻抄
AKIによる腎外遠隔臓器障害~動物実..

Acute Kidney Injury and Extrarenal Organ Dysfunction: New Concepts and Experimental Evidence

Anesthesiology 2012年5月号より

AKI動物モデル

AKIが腎以外の臓器に及ぼす影響の解明は研究分野として登場したばかりである。臨床研究を行おうと思ってもAKIは他の病態と密接にからみあって発生し複雑な過程をたどるため、研究するのがそもそも難しいため成果はまだあまり上がっていない。AKIの腎外波及による臓器不全の病態生理を解明するにあたり、腎傷害の動物モデルが利用されている。動物モデルであれば、ヒトを対象とした研究につきものの困難や実験上の制約にあまり縛られず、観測対象の変数を他の因子から独立させることができるため機序を理解するのに好都合であるからである。いろいろな動物モデルがあるが、中でも頻用されているのは腎虚血再灌流モデルと腎摘除モデルである。簡単かつ再現可能であり、傷害の程度を容易に調節することができるからである。腎虚血再灌流モデルは、腎動脈を一時的に遮断して作成する。このモデルでは、腎動脈上の大動脈瘤切除術、腎部分切除、腎移植、造影剤腎症、ショック、心停止などによって腎傷害が発生したときと似た状況を再現することができる。再灌流症候群は独特な特徴のある病態を呈し、傷害の生じた尿細管がサイトカインやケモカインの主な発生源となる。再灌流後には、内皮障害の程度に応じた血管作動性メディエイタの調節が失調に陥り腎血流量が最大50%も低下する。このため間質浮腫が発生し白血球が間質へ遊走する。一方、片側もしくは両側腎摘除によって作成されたモデルは、AKIの根本的特徴である腎機能低下もしくは喪失による影響を、再灌流障害のない状態で再現したい場合に用いられる。

その他にも、腎毒性物質や敗血症による腎傷害モデルがあるが、腎以外の臓器へのAKIの影響を検討するのに用いられることは少ない(table 1)。こういったモデルは臨床でAKIが発生するのと似た状況を再現することができ
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(critical care)12-06-06 08:25


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