敗血症性ショックの治療におけるドパミ..
できなかったことである。ただ、昇圧薬の種類がそれほど長く影響を左右する可能性は低いと考えられる。昇圧薬使用期間の中央値はわずか2日であり、Kaplan-Meier曲線上で二群の差が現れるのは第5日からであるが、それ以降はその差が広がることも縮まることもなく平行線をたどる。そして、28日後以降の時点の死亡率について解析しても、28日後における解析の時と同等の結果が得られた。第四の問題点は、各研究の結果を統合するにあたり変量効果モデルを採用したことである。この方法は母数効果モデルと比べて小規模な試験の結果にもちゃんと重み付けができる。そのため本研究の解析対象となった研究のうち規模において抜きんでていた2編が偏重されるのを避けるには変量効果モデルを適用するとよいと考えた。どちらかというと、母数効果モデルでは変量効果モデルよりも信頼区間が狭くなる傾向があるため、帰無仮説が真であるという結果が得られやすい。それにもかかわらず、本研究における介入試験を対象とした解析ではドパミンを使用すると死亡リスクが有意に上昇するという結果が得られた。第五の問題点は、無作為化試験の中にはドパミンもしくはノルエピネフリンの投与時間が二、三時間にとどまるものがあり、そうした研究では割り当てられた昇圧薬の投与終了後に、どんな昇圧薬が用いられたかについては触れられていない(割り当て薬投与終了後に、他の薬剤が使用された可能性がある)。ドパミンまたはノルエピネフリンを短時間にせよ投与すれば転帰が左右されるかもしれないが、短時間しか投与していない試験を我々の解析対象として含めたことによって、ドパミンとノルエピネフリンによってもたらされる転帰の差が明らかになり難くなったかもしれない。だが、割り当てたドパミンまたはノルエピネフリンを出来る限り長時間投与するよう設定された試験3編についてのみ解析を行ってみたところ、先の2編を含めた解析した場合と同じ結果が得られた。最後に第六の問題点を挙げる。本研究では対象を敗血症性ショックの患者に絞ったが、解析した研究のうち2編では敗血症性ショック以外のショック患者も対象とされていた。つまり、ITT解析ではないことに留意しなければならない。ただし、敗血症性ショック以外のショック患者も