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術後血糖管理~未解決の問題点 [critical care]

Glycemic Control in the Intensive Care Unit and during the Postoperative Period

Anesthesiology 2011年2月号より

重症患者と術後患者における血糖管理:未解決の問題点

インスリン強化療法についての前向き試験で相反する結果が得られていることから、多彩な議論が繰り広げられ、様々な見通しが語られてきた。強化インスリン療法が転帰におよぼす影響は、実際の血糖値つまり血糖管理の質をはじめとする様々な要素によって左右される。採血部位や血糖測定器械によっては、得られた血糖値に狂いが生ずることがある。特に、血管収縮、低血圧、ショック、虚血および浮腫がある場合には測定誤差が生じやすい。動脈血検体を用い検査室の測定器(または血液ガス分析器)で測定した血糖値が最も正確である。患者の状態によって、ICUにおける血糖管理の効果は大きかったり小さかったりする。基礎疾患、ICU入室理由および糖尿病既往の有無なども、強化インスリン療法の効果に影響をおよぼす。

前向き研究の対象患者の一部および遡及的研究で、低血糖の発生頻度が高かったり血糖値の変動が大きかったりすると、死亡率が上昇することが明らかにされている。しかし、ICU患者における低血糖の発生と転帰不良とのあいだの因果関係ははっきりと確認されているわけではない。インスリン持続静注だけでなく、重症度を反映するその他の要素(人工呼吸、血液浄化、敗血症、カテコラミン投与など)も重症患者における低血糖発生原因である。重症患者では血糖値の変動が大きいと転帰が不良であるという明白な相関関係が観測研究では示されている。

周知の通り、たくさんの未解決の問題が残されている。血糖目標の最適値、インスリン強化療法の効果が高い患者群、安全で確実な血糖管理のための要件などが、その代表である。血糖値持続監視装置とコンピュータ制御自動インスリン注入器の組み合わせのような技術の進歩により、血糖管理の質と安全性は改善する見込みがある。このような技術革新が現場に導入されるまでは、現在の実地診療に即した指針に沿って血糖管理を行わなければならない。これまでの臨床試験では明確なエビデンスが確立されるには至っていないが、糖尿病入院患者および重症患者/術後患者の治療指針についての専門家による公式勧告が発表されている。

教訓 血管収縮、低血圧、ショック、虚血および浮腫がある場合には血糖値の測定誤差が生じやすいので注意が必要です。
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