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ショックの治療:ドパミン vs ノルエピネフリン~方法① [critical care]

Comparison of Dopamine and Norepinephrine in the Treatment of Shock

NEJM 2010年3月4日号より

方法

対象患者
2003年12月19日から2007年10月6日にかけ、ベルギー、オーストリアおよびスペインに所在する8施設において多施設試験を行った。研究登録時にショックの治療の一環として昇圧薬が投与されていた18歳以上の患者全員を対象とした。十分量(晶質液なら1000mL以上、膠質液なら500mL以上)の輸液を投与しても平均動脈圧70mmHg未満もしくは収縮期血圧100mmHgであり末梢循環不全の徴候(例;意識レベルの低下、皮膚の網目模様、尿量0.5mL/kg/hr未満、血清乳酸値2mmol/L以上)が認められる場合をショックとした(ただしCVP>12mmHgまたはPAOP>14mmHgの場合を除く)。除外基準は、18歳未満、すでにショックのため昇圧薬(ドパミン、ノルエピネフリン、エピネフリンまたはフェニレフリン)を4時間以上投与されている、重篤な不整脈(160bpm以上の頻脈性心房細動、心室性頻脈など)または脳死の診断がついている場合とした。

プロトコル
コンピュータによる無作為割り当てを行った。ノルエピネフリンまたはドパミン溶液を準備する者のみが患者にいずれの薬剤が割り当てられたかを知り得た。薬剤の調整法は各施設の慣習に従った。薬剤の投与に関わる医師および看護師とデータ収集を担当する各施設の研究関係者は、割り当て薬剤がいずれであるかを関知しなかった。

ノルエピネフリンまたはドパミンの投与量は患者体重によって決定した。ドパミンは2mcg/kg/minずつ、ノルエピネフリンは0.02mcg/kg/minずつ増減した(ただし緊急時はこの限りではない)。投与量増減の一例をSupplementary AppendixのTable 1に掲載した。各患者の治療を担当する医師が目標血圧を決めた。割り当て薬剤を最大量投与しても低血圧が続く場合は(ドパミン最大量20mcg/kg/min、ノルエピネフリン最大量0.19mcg/kg/min、この二剤の投与量は平均動脈圧に同等の作用を及ぼすとされている。)、割り当て薬剤の他にopen-labelのノルエピネフリンを追加した。ドパミンの最大投与量を20mcg/kg/minとしたのは、研究に参加した各ICUでこの量が投与量上限とされ、また、専門家による推奨や国際ガイドラインでも同様だからである。

基準時点においてすでに昇圧薬が投与されていた症例では、可及的速やかに割り当て薬剤に切り替えた。すでにドパミンが投与されていて、割り当て薬剤投与開始後にドパミンを中止することができない場合は、はじめから投与されていたドパミンをopen-labelのノルエピネフリンに切り替えた。いずれの時点においてもopen-labelのドパミンを使うことは禁じられた。エピネフリンおよびバソプレシンは緊急時にのみ使用した。心拍出量を増やすのに必要であれば、強心薬を使用してもよいこととした。

昇圧薬を減量、離脱する際は、まずopen-labelのノルエピネフリンの投与を中止し、その後、割り当て薬剤の離脱を行った。離脱後再び低血圧が認められた場合は、まず割り当て薬の投与を再開し、最大量投与しても低血圧が続けば、open-labelのノルエピネフリンを追加した。

研究期間は最長28日間とした。ICUを一旦退室し、無作為化割り当て後28日以内再入室した患者には、必要であれば(ショックに陥った場合は)割り当て薬を再度投与した。研究第28日目以降は、昇圧薬の選択は担当医に一任された。

割り当て薬投与中に有害事象が発生した場合は、患者を研究対象から除外し、open-labelの昇圧薬を投与することにした。昇圧薬以外の治療法については、すべて担当医が決定した。

教訓 18歳以上のショック患者を対象としました。ドパミンまたはノルエピネフリン群に無作為に患者を割り当て、ドパミンは2mcg/kg/minずつ、ノルエピネフリンは0.02mcg/kg/minずつ増減しました。最大投与量はそれぞれ、20mcg/kg/min、0.19mcg/kg/minでした。
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