。シスアトラキュリウムはホフマン分解によって代謝されるため、ICUにおいて好んで用いられる神経筋遮断薬である。ICUで神経筋遮断薬が使用されることはそもそも少ないが、シスアトラキュリウム以外の神経筋遮断薬を使用するのは妥当とは言えない。神経筋遮断薬には健忘作用はないことに留意し、覚醒しているが筋弛緩が効いているという状態に患者を陥らせないように、健忘作用が得られる程度まで鎮静薬を問うよしなければならない。アルゴリズム解析によって意識レベルを測定するBISなどの装置をその他の鎮静評価法を組み合わせると、神経筋遮断薬を使用中の患者の鎮静レベルを評価するのに有用であると考えられている。手術患者ではプロポフォールやミダゾラムによる鎮静および健忘の程度がBISとよく相関することが明らかにされているが、麻酔中に標準的に行われている呼気終末麻酔薬濃度による麻酔深度調節と比べ、BISの方が術中覚醒を防ぐ効果が高いわけではない。また、手術患者においてはBIS値が低いほど(麻酔が深いほど)長期死亡率が高いことが示されている。ICU患者においてBISを標準的モニタリングとして推奨するには、無作為化比較対照試験による検証を待たなければならない。
教訓 鎮静の目的は、不快感の軽減、人工呼吸器との同調性の改善、呼吸仕事量の減少です。