、ナトリウム-カリウムポンプによる能動的輸送とアクアポリンを通じた受動的拡散による水の移動である。しかし、虚血性AKIの場合は、肺において間質浮腫を起こすだけでなくナトリウム-カリウムポンプおよびアクアポリンにダウンレギュレーションをかけてこの代償機構を無効にしてしまう。また、アクアポリン活性を低下させた動物はVILIが起こりやすいことも分かっている。
腎虚血再灌流が起こると、肺の内皮細胞および上皮細胞のアポトーシスをはじめとする組織学的変化が生ずる。その他、肺水腫、肺胞出血および白血球集簇などの所見が見られる。両腎摘除後には以上のような変化は生じないとされていたが、後になってKleinらがAKIが両腎摘除によるものであれ虚血再灌流によるものであれ、肺間質浮腫や好中球浸潤が見られることを明らかにした。
教訓 AKIが起こると炎症促進サイトカインが増え、このサイトカインが直接的に肺傷害を起こします。炎症反応により肺の血管透過性が亢進する上に、ナトリウム-カリウムポンプおよびアクアポリンのダウンレギュレーションのため間質浮腫がなおりにくい状態に陥ります。