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術後ハイリスク患者に対する制限輸血と非制限輸血の比較~方法② [critical care]

Liberal or Restrictive Transfusion in High-Risk Patients after Hip Surgery

NEJM 2011年12月29日号より

主要転帰
無作為化割り当て60日後時点において介添人の助けなしでは10フィート(または部屋の端から端まで)の歩行が不能または死亡を主要転帰とした。我々は、ヘモグロビン濃度が高い方がリハビリが順調に進み、割り当て60日後に自力歩行できる患者の割合が大きいであろうと推測した。

二次転帰
入院中の心筋梗塞、不安定狭心症または全死因死亡の複合転帰を二次転帰とした。各症例について以上のどれかに該当するか否かを検討した。

心電図検査は、術前、無作為化割り当て前、割り当て後第4日(またはこれより以前に退院した場合は退院時)に実施した。術前、無作為化割り当て前、無作為化割り当て後第1日および第4日(退院日の方が第4日よりも先であれば退院日)に血液(血清または血漿)検体を採取しトロポニンI濃度を測定した。入院中に臨床的に必要であると判断されて行われた心電図および心筋バイオマーカ検査の結果も記録した。トロポニンIはヘネピン郡医療センタ附属ミネアポリス医学研究財団の検査施設で測定した。トロポニンIは0.06mcg/L(健常者の99パーセンタイル値[0.04mcg/L]の1.5倍)以上を陽性とした。心筋梗塞と不安定狭心症の診断は、臨床症候、セントルイス大学における心電図の集約的解析および中核検査施設(上記)で測定した心筋バイオマーカの結果をもとに心筋梗塞万国共通定義(Universal Definition of Myocardial Infarction)の基準に従って行った(詳細はNEJM.orgに掲載されているSupplementary Appendix参照)。心血管系転帰の分類および電話による追跡調査の担当者はいずれも治療群の割り当てを関知しなかった。

無作為化割り当て30日後および60日後の電話調査で確認したその他の二次転帰は、その時点における居住場所、生死の別、身体機能(日常生活における身体活動度および手段的活動度[家事全般、金銭管理、服薬管理、外出、趣味のための活動がどれぐらいできるかをあらわす指標])および疲労感である。以上の転帰については先行論文で発表した方法によって記録した。

三次転帰
無作為化割り当て30日後までの院内合併症(肺炎、創感染、血栓塞栓症、脳卒中またはTIA、心筋梗塞の臨床診断)についても評価した。予め二つの複合転帰を設定した:死亡、心筋梗塞または肺炎;死亡、心筋梗塞、肺炎、血栓塞栓症または脳卒中。

生死と歩行能力の確認
米国に居住する患者の生死については、オンライン社会保障データベースを検索して確認した。電話調査の報告と、このデータベース検索の結果とのあいだに矛盾がある場合は、病院の記録または新聞の死亡記事を用いて最終判断を下した。カナダに居住する患者の生死については、入院診療録、生死に関する病院の記録および外来診療録を用いて確認した。対象患者の95.9%について生死の別をはっきりさせることができた(米国99.0%、カナダ91.2%)。生死の確認ができた1934名のうち7名(0.4%)において電話調査の結果とデータベースや診療録の記録とのあいだに矛盾があった。この症例については電話調査の結果ではなく、診療録の記録を採用した。患者の自己申告と代理人の申告が両方とも得られた814名のサブグループについて、歩行能力についての自己申告の信頼性を評価したところ、両申告はよく一致し自己申告の信頼性が高いことが明らかになった(カッパ係数0.90)。

プロトコル遵守状況の定義
非制限輸血群では、ヘモグロビン濃度10g/dL未満でも輸血が行われなかったり退院したりした場合を重大なプロトコル違反と定義した。また、制限輸血群はヘモグロビン濃度8g/dL以上で貧血による症状がないのに輸血された場合を重大なプロトコル違反と定義した。

教訓 ヘモグロビン濃度が高い方がリハビリが順調に進み、割り当て60日後に自力歩行できる患者の割合が大きいであろうという仮説を検証しました。主要転帰は、無作為化割り当て60日後時点において介添人の助けなしでは10フィート(または部屋の端から端まで)の歩行が不能または死亡の複合転帰です。
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