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ARDS患者には従量式より従圧式③ [critical care]

Point: Is Pressure Assist-Control Preferred Over Volume Assist-Control Mode for Lung Protective Ventilation in Patients With ARDS? Yes

CHEST 2011年8月号より

VACVとPACVの肺保護特性

従量式補助/調節換気(VACV)

PACVもVACVも、時間規定(時間サイクル)の換気方式である(Table 1)。旧来のVACVでは、一回換気量、最大吸気流速および吸気中の流量送気様態(フローパターン;一定か漸減か)を決めて設定する。呼吸努力のばらつきや呼吸回数に応じて流速が変化することはない。必然的に、気道内圧は従属変数となるため呼吸器系の機械的特性が変化するのに伴い変化する。したがって、VILIの発症を左右する最も重要な二つの変数である最高経肺圧と駆動圧が、たとえ患者の呼吸努力が全くない場合でさえも、ころころ変化してしまう。

VACV実施中の患者では、肺の状態が不均一な場合には肺胞内圧が大きくばらつく可能性があることを念頭に置くことが重要である。場合によっては、肺胞内圧が測定されているプラトー圧を超えることさえある(ここがPACVと正反対の点で、PACVでは肺胞内圧はプラトー圧より高くはならない)。そして、肺のコンプライアンスがより小さくなり、肺の病的変化が進み浸潤がひどくなるほど、肺胞内圧が上昇し、組織に加わる張力が格段に大きくなり、それにつれVT/FRC(歪み比)がどんどん大きくなるという、極めて深刻な事態が発生する。歪み比の増大はおそらく悪循環的に進行する。以上はPACVと大きく異なる点である。PACVの本質は、最高肺胞内圧を一定以上にはならないようにする点であり、肺が病的状態に陥ると、駆動圧および一回換気量が減少し、歪み比は変化しない(Fig. 3)。

流量制御一回換気量規定(flow-controlled,volume-targeted)換気であるVACVのもう一つのPACVにはない欠点は、患者と人工呼吸器が同調しないとき以外には一回換気量とフローパターンが最初に決めたまま変化しないことである。そのため、患者に必要な流速よりも遅い流速でしか吸気が行われないことがある。特に、漸減波流速サイクルの終末にはこのようなことが起こりやすい。そうすると、呼吸仕事量が増えることになる。また、流量特性が適切であったとしても一回換気量が一定であれば、純粋に生理学的な影響が懸念される。一回換気量にばらつきがあるのは健康の証であり、生き物の換気パターンが変動するのは、ガス交換の点で遊離だからであるとされている。下側肺や換気が比較的不良な部分は、一回換気量が常に一定のVACVを行うと虚脱しやすい。設定される一回換気量が小さいときは特にその傾向が顕著にあらわれる。傷害肺の脆弱な組織に加わる歪みは機能的慙愧量(FRC)と逆比例するので、肺組織が虚脱しているというのに一回換気量が変化しないで一定のままだと、VILIの起こりやすさを反映する重要な指標であるVT/FRCがどんどん増大する。

教訓 従量式では、最高肺胞内圧はプラトー圧より高くなることがあります。また、肺傷害が悪化するほど歪み比が大きくなり、最高気道内圧が上昇してしまいます。
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