SSブログ

敗血症性ショック:輸液量が多いほど死亡率が高い~方法 [critical care]

Fluid resuscitation in septic shock: A positive fluid balance and elevated central venous pressure are associated with increased mortality

Critical Care Medicine 2011年2月号より

方法

対象

VASST研究では、敗血症性ショックを呈しノルアドレナリン5mcg/min以上を投与中の患者778名を対象とした。VASST研究の患者データベースには、治療開始から4日目までの一日あたり水分投与量および尿量、中心静脈圧そしてAPACHEⅡスコアが記録された。

解析

治療開始から4日目までの輸液量と水分出納(看護記録にある経口水分投与量と輸液量を合計し、尿量and/or透析除水量を引いたもの)、各日の中心静脈圧および28日後死亡率について、遡及的解析を行った。まず、輸液が薬になるか毒になるかが輸液量によって左右されるとしても、それは非線型的な関係性を示すという仮説を立てた。つまり、輸液量は少なすぎても多すぎても、有害であると考えたのである。そこで、今回の解析では水分出納量にしたがって患者を四等分した。生存時間については層別Cox回帰分析によって解析した。層別化は、水分出納量(四分位群)または中心静脈圧によって行った。重症患者の死亡率を評価するにあたり、最も強力な交絡因子は年齢と重症度である。そこで、Cox回帰分析を行う際、水分出納量(四分位群)または中心静脈圧によって層別化するとともに、年齢、APACHEⅡスコアおよびノルアドレナリン投与量を共変量として扱った。1) 水分出納4分位階級、または、2) 中心静脈圧>12mmHgに関してCox比例ハザードモデルを用いてハザード比を算出した。この際にも、年齢、APACHEⅡスコアおよびノルアドレナリン投与量について調整した。ハザード比は95%信頼区間と共に提示する。生存者と非生存者の水分出納量の差を、Mann-Whitney順位和検定によって解析した。

参考記事
輸液動態学 
正しい周術期輸液 
外傷患者救急搬送中の輸液で死亡率が上昇する
重症感染小児は輸液負荷で死亡率が上昇する

教訓 輸液量は少なすぎても多すぎても有害になると考えられるので、その点を踏まえて解析が行われました。
コメント(0) 

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。