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ショックの治療:ドパミン vs ノルエピネフリン~方法② [critical care]

Comparison of Dopamine and Norepinephrine in the Treatment of Shock

NEJM 2010年3月4日号より

エンドポイント
28日後死亡率を本研究の主要エンドポイントとした。二次エンドポイントは、ICU死亡率、院内死亡率、6ヶ月後死亡率および12ヶ月後死亡率;ICU入室期間;臓器補助(昇圧薬、人工呼吸または腎代替療法)を不要とする日数;血行動態が安定するまでの時間(平均動脈圧が65mmHg以上に維持できるまでの時間);血行動態関連変数の変化;ドブタミンなどの強心薬の使用、とした。不整脈(心室性頻脈、心室細動または心房細動)、心筋壊死、皮膚壊死、四肢の虚血または二次感染を有害事象とした。

測定項目
研究開始から48時間後までは6時間おき、その後、第3、4および5日は8時間おき、第6、7、14、21および28日は一日一回の頻度で以下のデータを収集した:バイタルサイン、血行動態の変数(収縮期血圧、拡張期血圧、心拍数、中心静脈圧、可能な場合は肺動脈圧)、心拍出量、動脈血ガス、混合静脈血(中心静脈血)ガスおよび呼吸状態。第7日までは毎日、その後は第14、21および28日に、生物学的変数、水分出納、微生物学的データおよび使用抗菌薬を記録した。

ICU入室時および研究登録時にAPACHEⅡスコアを算出し、連日第7日まで、および第14、21、28日にSOFAスコアを算出した。

統計解析
SOAP研究ではドパミン投与群の死亡率が43%であったのに対し、ノルエピネフリン投与群の死亡率は36%であった。この結果を踏まえ、各群に患者765名を配すれば28日後死亡率の相対差15%を検出力80% (両側α0.05)で証明することができると見積もった。

観測研究で得られた結果から必要患者数につき誤った見積りをしている可能性があるため、対立仮説に関する逐次解析を行った。研究登録患者が50人に達した時点および100人に達した時点、その後はさらに100人登録するごとに解析を行い、以下の予め設定した条件に当てはまる結果が得られた場合は本研究を中止することにした:ドパミンよりノルエピネフリンの方がよい、ノルエピネフリンよりドパミンの方がよい、両者に差はない。研究とは直接の関わりを持たない独立した統計担当者(医師)が有効性解析と有害事象の監視を行った。1600人目までの登録患者に関する転帰の解析を終えた2007年10月6日、前述の三つの研究中止条件のうち一つが満たされたため、統計担当者により研究中止が言い渡された。

ITT解析によって全データの解析が行われた。主要エンドポイントの差の解析には、非調整カイ二乗検定を適用した。結果は絶対リスクおよび相対リスクとして表し、95%信頼区間を示した。Kaplan-Meier曲線で予測生存曲線を描き、ログランク検定を行い比較した。Cox比例ハザード回帰モデルを用い、転帰に影響を与える可能性のある交絡因子の評価を行った(単変量解析でP値<0.20の因子を対象とした)。

ショックの類型について予め設定したサブグループ(敗血症性、心原性もしくは循環血液量減少性)について、主要転帰の解析を行った。交互作用についての検定を行い、結果は串刺し図(forest plot)で表した。

その他の二値(バイナリ)変数の解析にはカイ二乗検定、連続変数の比較には対応のないStudentのt検定またはWilcoxon順位和検定を適用した。

教訓 SOAP研究ではドパミン投与群の死亡率が43%であったのに対し、ノルエピネフリン投与群の死亡率は36%であった。本研究の主要エンドポイントは28日後死亡率です。

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