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帝王切開:フェニレフリンvs エフェドリン~方法 [anesthesiology]

Placental Transfer and Fetal Metabolic Effects of Phenylephrine and Ephedrine during Spinal Anesthesia for Cesarean Delivery

Anesthesiology 2009年9月号より

方法

脊髄クモ膜下麻酔下の帝王切開術を予定された満期単胎妊娠のASA PS1-2の女性104名を対象とした。除外基準は、高血圧(収縮期血圧>140mmHgまたは拡張期血圧>90mmHg)、心血管系または脳血管疾患、胎児の異常、脊髄クモ膜下麻酔の禁忌および陣痛発来の徴候とした。

前投薬として、ファモチジンとクエン酸ナトリウムを内服させた。手術室入室後、標準的な非侵襲的モニタリングを開始した。患者を仰臥位としベッドを左に傾け、1-2分おきに血圧を測定した。三回連続して測定値が安定し差が10%以内になるまで測定を続けた。血圧と心拍数の基準値は、三回の平均値とした。

前腕に局所麻酔を行い16ゲージの静脈路を確保し、太い口径の輸液セットを用い温めた乳酸リンゲル液1Lのバッグにつないだ。手術室入室までは輸液は行わなかった。脊髄クモ膜下麻酔は右側臥位で実施した。リドカインによる浸潤麻酔後、25Gペンシルポイント針をL3/4またはL4/5と考えられる椎間から刺入し、0.5%高比重ブピバカイン2.0mL(10mg)とフェンタニル15mcgをクモ膜下腔に投与した。患者を仰臥位に戻しベッドを左に傾斜させた。薬剤投与1分後から、1分間隔で血圧を測定した。血行動態データは5秒間隔でコンピュータに取り込んだ。

患者を無作為にフェニレフリン100mcg/mLまたはエフェドリン8mg/mLに割り当て持続投与を行った。患者管理またはデータ収集のいずれにも関わらない者が薬剤を準備した。いずれの薬剤も、全く同じシリンジに用意された。シリンジ中の昇圧薬の濃度は、過去に発表されたデータを基に、両薬剤が同等の効力を発揮するように決定されたものである。いずれの昇圧薬も、細径延長チューブを経て静脈路の三方活栓に接続し、シリンジポンプを用いて投与した。収縮期血圧が基準値とほぼ等しくなるように、過去に我々が発表した方法に従い投与速度を調節した。クモ膜下腔に薬剤を投与すると同時に、急速輸液(最大2L)を開始した。輸液バッグはオペ台から1.5mの高さに設置しクレンメを全開にし、昇圧薬の投与を60mL/hrで開始した。収縮期血圧が基準値の120%を上回らない限り、2分間にわたり昇圧薬を投与した。その後、子宮切開時(=実験終了時)まで1分間隔で血圧を測定し、収縮期血圧が基準値以下であれば昇圧薬の投与を続け、基準値を上回ったら中止した。二回以上連続して低血圧(収縮期血圧が基準値の80%未満)が観測されたら、「レスキュー」としてフェニレフリン100mcgを静注した。高血圧(収縮期血圧が基準値の120%を上回る)が発生したら記録した。

クモ膜下腔薬剤投与の5分後に、ピンプリック法で麻酔高を確認し、術野の消毒を開始した。手術開始および終了時刻、吐き気・嘔吐の有無を記録した。動脈血酸素飽和度が95%未満でない限り、酸素投与は行わなかった。徐脈(心拍数<50bpm)が見られたら昇圧薬の投与を中止した。徐脈に低血圧を伴う場合はアトロピン0.6mgを静注した。

児娩出時に、母体から動脈血5~10mLを橈骨動脈から採血した(MA)。娩出直後に臍帯動脈(UA)および臍帯静脈(UV)から採血した。以上の血液検体について、以下の測定を行った:(1)血液ガス分析; (2)乳酸およびブドウ糖; (3)エピネフリンおよびノルエピネフリン; (4)フェニレフリンおよびエフェドリン

娩出1分後および5分後のApgarスコアを小児科専門医が評価した。

教訓 予定帝王切開を脊髄クモ膜下麻酔で行い、フェニレフリン100mcg/mLまたはエフェドリン8mg/mLを60mL/hrで投与して比較しました。
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