研麻抄
人工呼吸中の鎮静と鎮痛~譫妄①

ばならない譫妄患者を検出する感度は同等だがCAM-ICUの方が特異度が高いという結果を報告している研究もある。ICU患者では譫妄が重大な死亡予測因子であることが次第に明らかになっている。譫妄の予防と管理法の確立につながる研究結果が待たれている。

現時点では、ICUで発症する譫妄に対する非薬物療法の有効性を裏付ける知見はそれほど蓄積されていない。ICU患者における譫妄危険因子の多くは、ICU患者以外の入院患者でも同じように譫妄発症の危険因子である。病棟患者を対象とした研究では、こういった危険因子を解消するよう取り組むことによって譫妄発生率が低下することが示されている。見当識障害を是正したり、睡眠環境を改善したり、譫妄発症原因となる薬剤の使用を極力回避したりするような簡単な方法によって、譫妄を減らすことができる。ICUでも早期離床に努めることが譫妄防止につながることが示されている。一日一回の鎮静薬中断による覚醒および自発呼吸試験に加え早期離床を行うと、譫妄の発生頻度が低下するばかりでなく、譫妄以外の重大な転帰(死亡率など)も改善することが分かっている。鎮静薬の選択や使用量削減も、譫妄の防止につながる可能性がある。中でもデクスメデトミジンはベンゾジアゼピン主体の鎮静と比べ譫妄を起こしにくく死亡率を低下させる点に注目が集まり、研究が行われてきた。デクスメデトミジンのこうした利点は、敗血症患者においてより際だつ。転帰の改善につながることがエビデンスで裏付けられている重症患者管理手法が「ABCDE」として覚えやすい形にまとめられている(Awakening and Breathing, Choice of sedative and analgesic, Delirium monitoring, and Early mobilization; 鎮静薬中断による覚醒、自発呼吸試験、鎮静薬・鎮痛薬の選択、譫妄のモニタリング、早期離床)。今までに述べた予防策や非薬物療法を実施しても譫妄が発症した場合は、譫妄に対する薬物治療を考慮しなければならないこともある。

教訓 譫妄の発生頻度は11%から87%と報告されています。鎮静レベルを浅めにしていても、譫妄の発生頻度は低下しません。譫妄が発生すれば死亡率上昇、人工呼吸日数やICU滞在日数延長などの転帰悪化につながります。譫妄の予防には「ABCDE
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(critical care)12-06-25 07:00


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