研麻抄
敗血症:治療の進歩と免疫異常のポイン..

Advances in the Management of Sepsis and the Understanding of Key Immunologic Defects

Anesthesiology 2011年12月号より

免疫療法による敗血症患者の生存率向上

敗血症になると免疫エフェクタ細胞がアポトーシスにより大幅に減少することが明らかにされている(fig.2)。このことを踏まえ、抗アポトーシス作用を持つ免疫刺激性サイトカインのIL-7に期待が寄せられている(fig. 4)。IL-7には、リンパ球の増殖を誘導し、エフェクター機能を回復させ、さらに感染部位への遊走能を向上させるはたらきがある。敗血症におけるIL-7の有用性を裏付ける強力な理論的根拠を示した研究の成果が次々に発表されている。遷延性ウイルス感染患者の免疫能がIL-7投与によって回復するとか、慢性ウイルス性疾患や敗血症の動物モデルにIL-7を投与すると生存率が改善するといった結果が報告されている。現在、C型慢性肝炎、HIV感染もしくは癌患者の免疫能をIL-7投与によって高める効果を検討する臨床研究が行われている。IL-7は安全性が非常に高く、副作用により投与を断念しなければならなくなることはまずないと言ってよい。

敗血症の免疫療法になり得ると期待されている第二の方法は、T細胞表面に発現しnegative pathwayに関わる共刺激分子の阻害である。新しく発見された免疫抑制受容体PD-1が、宿主の免疫反応を修飾する上で不可欠の作用を発揮することが分かったのが、この治療法の進展に関わる重要な知見である。PD-1は主にCD4陽性T細胞およびCD8陽性T細胞の表面に誘導されて発現する。PD-1を介したシグナル伝達によってT細胞の増殖、サイトカイン産生、細胞毒性作用などが阻害される。敗血症患者の循環血液中T細胞ではPD-1の発現が増加していることが分かっている。そして、敗血症動物モデルを用いた実験ではPD-1が関与する経路を阻害することによって生存率が向上するという結果が得られている。動物実験ではPD-1を阻害すると病原体除去能が改善することが明らかにされ
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(critical care)12-02-14 07:42


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