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TAAAの麻酔~術中管理③ [anesthesiology]

Case Scenario: Anesthetic Considerations for Thoracoabdominal Aortic Aneurysm Repair

Anesthesiology 2011年11月号より

腎保護

大動脈遮断中に遮断部位よりも遠位の血流を保つことと、虚血期に腎動脈へ冷たい灌流液を流すことが腎保護につながる。Koksoyらは、胸腹部大動脈瘤術後の急性腎機能障害を防ぐには、体温と等温の血液よりも、冷却した晶質液を腎に灌流させる方が優れていることを明らかにした。これを受けてLeMaireらはマンニトール、プレドニゾロンとともに4℃の晶質液を間欠的に腎動脈に灌流させ腎の温度を常に28℃以下に保ち、術後の腎機能低下を防ぐことに成功した。大動脈遮断部位より遠位の血圧と腎血流には強い相関があるため、左心バイパスを行い大動脈遮断中の灌流圧を維持するのはよい方法である。マンニトールやドパミンの腎保護効果については賛否両論があり、術後腎機能障害の発生頻度が低下することを裏付けるデータはない。腎の血流と尿管の開存を評価するため、腎血流再開時にインジゴカルミンおよびフロセミドを投与するとよいかもしれない。30分以内に着色尿が見られなければ、腎動脈や尿管の屈曲などの外科的に修復可能な原因がないかどうかを確かめなければならない。

教訓 大動脈遮断中は腎動脈に4℃の晶質液を間欠的に灌流させ局所的に冷却すると、術後の腎機能低下を防ぐことができます。マンニトールやドパミンには腎保護効果は期待できません。
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