SSブログ

ARDS患者には従量式より従圧式④ [critical care]

Point: Is Pressure Assist-Control Preferred Over Volume Assist-Control Mode for Lung Protective Ventilation in Patients With ARDS? Yes

CHEST 2011年8月号より

VACVとPACVの肺保護特性

従圧式補助/調節換気(PACV)

人工呼吸器が遂げた昨今の進歩は、その大部分が従圧式換気を元にした工夫や改良である。PACVでは、気道内圧(PEEP+一回換気ごとの駆動圧)は、任意の肺胞の最高肺胞内圧と同じ意味である。肺胞が膨らむにつれ吸気流速は減少する。吸気流速が低下することによって、肺の機械特性(メカニクス)が不均一であってもすべての部分がより均一に換気されるようになる。そのため、多くの場合ガス交換効率の点でやや有利である。設定した吸気時間内に、気道内圧と肺胞内圧が等しくならなければ、最高肺胞内圧は設定値より低くなる。決して高くなることはない。肺のどの部分においても、肺胞内圧が設定値を上回ることはない。肺コンプライアンスが低下しFRCが減少すると、一回換気量と最大吸気流速のいずれもが低下する。代償的に呼吸数を増やさない限り、分時換気量は減少する。これによってVT/FRC比が上昇するのを防ぐことができるものの、高二酸化炭素血症が出現することがある。幸い、高二酸化炭素血症は、相当重度であっても十分認容することができる。

VACVと異なりPACVは流速に制限がないため、患者の状態によって一回換気量が決まり、同時に肺を膨らませる程度を変化させることもできる。流速が患者と同調せず不快感が生ずるようなことも、VACVより起こりにくい。特に、患者トリガで補助呼吸を行う場合にVACVよりはるかに有利である。PACVでは勢いよく吸気が行われるため経肺圧が上昇するという反論があるかもしれないが、患者の吸気努力は肺が拡張をはじめる最初の段階で最大になり、肺胞内圧が上がるにつれ吸気努力は小さくなるため、過膨脹のリスクはそもそも少ないということを銘記すべきである。そして、動物実験でも、健康被験者を対象とした実験でも、患者の呼吸努力の大きさに応じて陽圧がかかるモード(PAV[proportional assist ventilation]やNAVA[neutrally adjusted ventilator assist])であれば経肺圧が危険なレベルにまで達することは滅多にない。

まとめ
VACVのように一定の流量ではじめに設定した一回換気量を漫然と繰り返す場合、経肺圧が高くなり肺にダメージを与えるおそれがある。PACVは経肺圧が高くならないように換気を行うことができるため、原則的にVACVより安全性が高い。

教訓 従圧式では、最高肺胞内圧がプラトー圧を超えることはありません。肺傷害が悪化すると歪み比は不変または低下し、一回換気量が減ります。肺の状態を正しく判断して人工呼吸器を正しく扱える人にとっては、従圧式の方が従量式よりも良い換気方式です。肺の状態を適切に把握できないand/or人工呼吸器を正しく扱えない人にとっては、どちらの換気方式であってもALI/ARDS患者の管理を安全に行うことは難しいでしょう。
コメント(0) 

コメント 0

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。