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ARDS患者には従量式より従圧式② [critical care]

Point: Is Pressure Assist-Control Preferred Over Volume Assist-Control Mode for Lung Protective Ventilation in Patients With ARDS? Yes

CHEST 2011年8月号より

従圧式補助/調節換気?従量式補助/調節換気?

どんな状況であっても、呼吸器系が一回の換気ごとに拡張するのに必要なエネルギーは気道内圧と流量(呼吸器系に送り込まれる気体容積の変化率)の積で決定される。呼吸器を設定する担当医は、気道内圧または人工呼吸回路内の流量のいずれかを調整する。両者を同時に変化させてはいけない。補助/調節換気は従量式(VACV)または従圧式(PACV)に分類するのが慣習になっているが、実際には、流量制御時間規定(flow-controlled, time-cycled)換気と圧設定時間規定(pressure-targeted, time-cycled)換気のいずれかを選択しているのである。ここで注意を喚起しなければならない点がある。新生児肺(baby lung)では機能が保たれている肺胞の数が減っているが、この少ししかない肺胞を出入りする気体の実際の速度を制御することはできない。機能している肺胞がたくさんある健常肺に同じ流速で換気する場合よりも、新生児肺の方が肺胞における流速はかなり大きいと考えられる。流速(および下流に当たる肺実質が拡張する速度)が大きくなるのは、機能が保たれている部分に気体を送り込む導管の数が大幅に減るからである。

ARDS症例において肺保護を念頭にVACVとPACVのいずれかを選択するに当たって、患者に合わせて調整しなければ、どちらの方式を選んでも患者の需要and/or医師が目指す安全性のいずれも叶わないということを認識しなければない。以下の賛成/反対形式の拙稿においては、従圧式の方が流量制御による従量式より安全であることを述べる。この主張を展開するに当たり、以下の仮定が成り立っているものとする。

・高圧アラームが適切に設定され、設定値以上の圧がかかると圧が開放される。最小流量アラームが適切に設定され、設定値以上の流量が常に確保される。
・従量式換気と従圧式換気の平均一回換気量が同等。
・人工呼吸器の吸気時間が、患者の呼吸中枢が規定する自発呼吸の吸気時間と乖離しない。
・一回の換気サイクル中に人工呼吸器が患者による呼吸努力の大きさのばらつきに応じて圧または流量を自動的に調整しない(例 dual control)。

教訓 「新生児肺(baby lung)」=ALI/ARDS肺のコンプライアンスが著しく低下し硬くなるのは、含気が保たれている部分のメカニクスの悪化によるのではなく、FRCの低下によるものであるという考え方。つまり、ALI/ARDSの肺は「硬い」のではなく「小さい」のです。
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