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原発震災 [misc]

今朝、ボスから予言の書(石橋克彦:「原発震災-破滅を避けるために」『科学』(岩波書店) 1997年10月号)を手渡されました。読んでみたところ、福島で起こっていることがあまりにも正確に予測されていて、驚きました。内容は、以下の通りです。

①日本では原発を直撃する可能性のある大地震を想定することなく原発が設計されている。原発の耐震設計は不十分である。

②浜岡原発は東海地震の想定震源断層面の真上にある(地盤は軟岩)。1、2号機の想定震度450ガル、3、4号機の想定震度600ガルを超える大地震が起こる恐れが大きい。敷地の地盤高は6m程度である。東海・南海地震が起これば6mを超える大津波が発生するおそれがある。

③原発が大地震で損傷される場合、平常時の事故とは異なり無数の故障が同時に発生する。ある故障と、そのバックアップ機能の故障の同時発生(例;外部電源が止まり、ディーゼル発電機が動かず、バッテリーも機能しない)が起こりうる。

④大地震で原発に損傷が生ずると想定外の対処を迫られるが、運転員も大地震で身体的・精神的影響を受けるため対処しきれずに一挙に大事故に発展する。最悪の地震でなくてもこのようなことは起こりうる。

⑤原子炉建屋の耐震性の高さは意味がない。問題は、配管・弁・ポンプ類や原子炉そのもの、制御棒、ECCS(緊急炉心冷却装置)などである。また、耐震設計の違いによる原子炉建屋とタービン建屋の揺れ方の違いが配管におよぼす影響、地盤の変形・破壊、津波(低い津波も含む)が運ぶ砂により取水・放水不能に陥る可能性も考慮しなければならない。

⑥BWR型原子炉では制御棒を下から押し込むため、大地震時に挿入できない可能性がある。すると、核暴走が起こる危険性がある。そうでなくとも、色々な原因で冷却水が失われ、炉心溶融が生じ水蒸気爆発や水素爆発が起こり、格納容器や原子炉建屋が破壊される。爆発事故が使用済み燃料貯蔵プールに波及し、ジルコニウム火災が起こる可能性もある。

⑦21世紀半ばまでには発生する可能性が極めて高いと言われる巨大地震の震源域中心に位置する浜岡原発は、直ちに廃炉を目指すべきである。ましてや増設を許すべきではない。

福島第一原発の事故のような原発災害が起こる危険性は、すでに10年以上前から指摘されています。この著者は衆院予算委員会公聴会(2005年2月23日)でも原発の危険性を証言しているのですが、その意見が原発政策に反映されることはありませんでした。そして、今日も原発は稼働しています。上記②~⑥は今まさに福島で起こっていることであり、決して「想定外」ではなかったのです。

浜岡原発だけでなく、福井の「もんじゅ」も極めて危険な状態であると言われています。政府や御用学者は、大気、食料、水の放射線が「ただちに人体に影響をおよぼすおそれはない」とさかんに言っています。今まで、原発は安全で、地震が起こっても事故が起こらないように盤石のつくりになっている、と言われてきました。しかし、今回の地震で原発は木っ端みじんに破壊され、大量に放射線が漏れています。日本の原発は安全ではないし、地震にも耐えられなかったのです。こうなってしまった今に至っても、放射線に曝露されても(ピンポイントでは)健康に影響はない、と安全性が過度に強調されています。原発から漏れている放射線による被曝は、単回の被曝ではなく、呼吸、皮膚、食べ物・水などいろいろな経路による外部被曝+内部被曝が放射能漏れ終熄まで続く(いつまでか分からない)にも関わらず、一つ一つが切り離されて「問題ない」と喧伝されています。政府や学者の役目は、安全でないものを安全と思わせて偽りの安心感を国民に抱かせることではありません。危険なものを危険とはっきり言い、どのように対処すべきかを伝え、同じような事象が今後起こらないように今までのやり方を見直すことが、国民の本当の安心感につながるはずです。政府、原子力保安院および電力会社は、福島の原発事故の収拾に全力を挙げるとともに、現在の日本の原発が爆発する危険性があることを認め、直ちに原発の稼働を停止すべきです。

コメント(4) 

コメント 4

ガンガンガン速

初めまして。
やはり、原発は人災ですね。想定外ではなく、想定内にしなかっただけ。
by ガンガンガン速 (2011-04-01 12:51) 

vril

コメントをいただき、ありがとうございます。

ご指摘の通りですね。気違いに刃物という感じです。第三者に危険性を指摘されても、それが起こってほしくないことであり、適切な対策を講ずるには莫大なコストがかかることであるがゆえ、「起こらないはずだ」と妄想をふくらませたのでしょうね。妄想力がたくましいヤツほど大きな利得(地位やお金)を手にするシステム。あまりにも妄想力がたくましすぎて、自らの想定力が極めて乏しいことを自覚することもできなくなった愚か者たち。この難局の当事者として「想定外」という言葉をいけしゃあしゃあと発することの恥ずかしさも分からない馬鹿者ども。

半藤一利は「日本人は、起きてほしくないことは起きないだろうと思ってしまう。先の大戦でも、ソ連は絶対参戦しないと思い込んでいた」と言っていたそうです。大地震はこれからも起こります。それに伴い津波も発生します。そして、このままでは福島と同じ原発惨事が再発します。絶対です。老朽化した原子炉を廃炉にする、同時に複数箇所が故障するあらゆる可能性を「想定」し準備する、大地震が発生する可能性が高い場所に建てられた原子炉は思い切って廃炉にする、などなど徹底的な安全対策を実施すべきです。
by vril (2011-04-01 15:22) 

ぶりぶり

朝日新聞にこんなことが書いてありました。

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 福島第一原発の事故を受け、日本気象学会が会員の研究者らに、大気中に拡散する放射性物質の影響を
予測した研究成果の公表を自粛するよう求める通知を出していたことが分かった。自由な研究活動や、
重要な防災情報の発信を妨げる恐れがあり、波紋が広がっている。

 文書は3月18日付で、学会ホームページに掲載した。新野宏理事長(東京大教授)名で「学会の関係者が
不確実性を伴う情報を提供することは、徒(いたずら)に国の防災対策に関する情報を混乱させる」
「防災対策の基本は、信頼できる単一の情報に基づいて行動すること」などと書かれている。

 新野さんによると、事故発生後、大気中の放射性物質の広がりをコンピューターで解析して予測しようとする
動きが会員の間で広まったことを危惧し、文書を出した。

 情報公開を抑える文書には不満も広まり、ネット上では「学者の言葉ではない」「時代錯誤」などとする批判
が相次いだ。「研究をやめないといけないのか」など、会員からの問い合わせを受けた新野さんは「研究は大切
だが、放射性物質の拡散に特化して作った予測方法ではない。社会的影響もあるので、政府が出すべきだと思う」
と話す。

 だが、今回の原発事故では、原子力安全委員会によるSPEEDI(緊急時迅速放射能影響予測)の試算の
発表は遅すぎた。震災発生から10日以上たった23日に発表したときには、国民に不安が広まっていた。

 気象学会員でもある山形俊男東京大理学部長は「学問は自由なもの。文書を見たときは、少し怖い感じがした」
と話す。「ただ、国民の不安をあおるのもよくない。英知を集めて研究し、政府に対しても適切に助言をするべきだ」

 火山防災に携わってきた小山真人静岡大教授は、かつて雲仙岳の噴火で火砕流の危険を伝えることに失敗した
経験をふまえ、「通知は『パニック神話』に侵されている。住民は複数の情報を得て、初めて安心したり、
避難行動をしたりする。トップが情報統制を命じるのは、学会の自殺宣言に等しい」と話している。
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偽りの安心感を国民に抱かせることを公言して憚らないということになりました。

by ぶりぶり (2011-04-03 08:33) 

vril

ぶりぶり先生、おはようございます。いつも贔屓にしていただき、大変感謝しております。

東大の先生は、学問は自由と断りつつ、「国民の不安をあおるのもよくない。」と言っていますが、なんかおかしくないですか?自由かつ誠実な学問の結果、不快、恐怖、不安などを人々に抱かせしめるような知見や予測が得られた場合、「みんなが不安になるといけないから」と言って公表すること自体や公表の程度を自主規制するってことですよね?これって学問を自由に深めることとは相反するような気がします。この先生の学問は、小市民的秩序の保全に屈する、不自由な学問だと思います。こういうもっともらしい常識的っぽい腐ったことを言う人が、どんな分野でも重宝されて斯界の重鎮になってるんですよね~。

ここ数年ぐらい、世間では何かちょっとしたことが起こると「安心、安全」という言葉が跋扈していました。そのくせ、安心、安全を脅かす可能性のある事柄が次々と曝露されるようなことはありませんでした。この社会を形成する多くの人々が「安心、安全」を求めながら、潜在的危険性の認識による不快(コスト負担を含む)・不安・恐怖と向き合うことを避けていることの反映なんだなぁ、と思っていました。念仏平和主義(平和、平和、自衛隊は違憲、憲法九条と言っていれば平和が実現するという妄想)と似ています。

念仏平和主義、という言葉を使うと、タカ派と思われるといけないのでお断りしておきますが、私は、社民党とかとは違う意味で憲法九条堅持派です。なぜかというと、戦争したら日本は絶対に必ず間違いなく1000%負けるからです。「勝ちに不思議の勝ちあり、負けに不思議の負けなし」と言います。原発に関する様々な様相を見て、日本絶対敗北説にますます自信を持つことになりました。私は人並み以上に愛国心を持っていると自負しているので、愛する日本が滅びないためには憲法九条もやむなし、と思っているというわけです。もちろん、これから日本が変身して、どこかの強い国と戦争しても勝てそうな状況になったら、外交の一手段として戦争という選択肢をちらつかせるために改憲すればいいと思います。

自由を貫く根性なんてないくせに都合のいいときだけ「学問の自由」とか言うような、惰弱な風潮が蔓延していることが原発災害を引き起こした一因であるということを、学者先生たちは、よーーーーーく反省してほしいものです。
by vril (2011-04-05 08:50) 

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