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外傷と第Ⅶ因子~結果② [critical care]

Results of the CONTROL Trial: Efficacy and Safety of Recombinant Activated Factor VII in the Management of Refractory Traumatic Hemorrhage

J Trauma 2010年9月号より

鈍的外傷群

鈍的外傷症例においては、rFⅦa群と偽薬群とのあいだに30日後死亡率の有意差は認められなかった(11.0% vs 10.7%; オッズ比0.97; 95%CI 0.53-1.80, p=0.93)。30日後重症合併症発生率についても同様であった(8.7% vs 9.5%, p=0.75)(Table 2)。第30日における人工呼吸/腎代替療法非実施日数は両群同等であった(rFⅦa群17.2日、偽薬群16.4日)(Table 2)。多臓器不全発生率はrFⅦa群(45%)の方が偽薬群(53%)より低い傾向が認められた(p=0.06)。

主な二次エンドポイントは血液製剤の使用量に関連するものである。鈍的外傷のrFⅦa群は、赤血球製剤、FFPおよび同種輸血合計単位数が有意に少なかった(Table 3)。割り当て薬剤投与から24時間後までのrFⅦa群と偽薬群の輸血単位数は、赤血球製剤が6.9単位vs 8.1単位(p=0.04)、FFPが4.7単位vs 6.9単位、同種輸血合計単位数が17.1単位vs 20.7単位(p=0.03)であった。投与から48時間後までの結果も同様であり、rFⅦa群の方が偽薬群よりも同種輸血合計単位数が有意に少なかった(19.0単位vs 23.5単位, p=0.04)。血小板製剤、フィブリノゲン濃縮製剤およびクリオプレシピテートの使用量については有意差は認められなかった。

鈍的外傷症例を対象とした安全性評価では、rFⅦaと偽薬は同等の結果を示した。担当医によって報告された高度有害事象および予め設定した特に憂慮すべき有害事象(血栓性合併症など)についても有意差は認められなかった(Table 4)。予想に違わず、鈍的外傷後の高度有害事象の合計発生数は多数にのぼり、多くの患者において複数の高度有害事象が発生した:第90日までに、rFⅦa群147名(65.6%)に348件の高度有害事象が発生し、偽薬群177名(70.8%)に390件の高度有害事象が発生した(p=0.23)。第90日までに発生した血栓性有害事象は、rFⅦa群36名(16.1%)45件、偽薬群33名(13.2%)35件であった(p=0.38)。rFⅦa群においては動脈血栓症16件、静脈血栓症29件、偽薬群においては動脈血栓症11件、静脈血栓症24件が発生した(Table 4)。鈍的外傷と貫通外傷をあわせた事後解析では、偽薬群の方がrFⅦa群よりARDS発生数が有意に多かった(p=0.022)。

貫通外傷群

鈍的外傷群と比べ貫通外傷群の方が年齢層が若く、男性が多く、ISSが低かった。貫通外傷症例では、rFⅦa群の方がやや年かさだった(34歳vs 29歳)。それ以外の点、特に出血量やショックの有無についてはrFⅦa群と偽薬群は同等であった(Table 1)。ITT解析において観察された死亡率は、rFⅦa群18.2%、偽薬群13.2%であった。有意差はなかった(p=0.40)(Table 2)。重症合併症発生率はrFⅦa群、偽薬群ともに低かった(2.3% vs 0.0%, p=1.00)。

鈍的外傷群と同様に貫通外傷群でも、rFⅦa投与による輸血量低減効果が認められた。投与24時間後および48時間後までの血液製剤使用単位数はいずれもrFⅦa群の方が少ない傾向が認められたが、標本数が少なかったため有意差が得られた項目は少なかった(Table 3)。割り当て薬投与から24時間後までのFFP使用量についてはrFⅦa群の方が有意に少なく、rFⅦa群3.8単位に対し偽薬群は5.7単位であった(p=0.04)。48時間後までのFFP使用量はそれぞれ4.0単位、6.5単位であった(p=0.02)。

貫通外傷症例を対象とした安全性評価の全体的な結果は、rFⅦaと偽薬でほぼ同等であった。担当医によって報告された高度有害事象および血栓性有害事象については、静脈血栓症が偽薬群で有意に多かった(p=0.04)以外は、有意差は認められなかった(Table 4)。報告された高度有害事象の件数は、rFⅦa群18名(39.1%)に35件、偽薬群20名(50.0%)に44件であった。第90日までに血栓性有害事象が発生したのはrFⅦa群が2名のみ(4.3%)であったのに対し、偽薬群では4名(10.0%)であった(p=0.41)。

教訓 鈍的外傷症例においては、rFⅦa群と偽薬群とのあいだに30日後死亡率(11.0% vs 10.7%)、30日後重症合併症発生率、第30日における人工呼吸/腎代替療法非実施日数の有意差は認められませんでした。多臓器不全発生率はrFⅦa群(45%)の方が偽薬群(53%)より低い傾向が認められました(p=0.06)。
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