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CRPが高いほどARDSの転帰は良い~方法 [critical care]

Plasma C-Reactive Protein Levels Are Associated With Improved Outcome in ARDS

CHEST 2009年8月号より

C反応性蛋白(CRP)は血漿中に存在する21-キロダルトンのタンパクであり、肝で産生される。肺炎患者の血中から抽出されたのが始まりで、急性期の反応性タンパクとして最初に発見されたものである。感染刺激により血漿中のCRPは急速かつ大幅に上昇する。このため、CRPは全身炎症を検出する重要な生物学的指標として長きにわたり捉えられてきた。敗血症、肺炎、虫垂炎、冠動脈疾患、脳卒中、糖尿病、リウマチ等、数多の疾患で予後評価や診断にCRP測定が有用であることが示されている。大半の疾患で、CRPが高いほど転帰が不良であるとされてきた。

ARDSとは、肺傷害または肺以外の臓器傷害に呼応して肺に発生した炎症によって引き起こされる状態の一つである。近年、血漿中のメディエータや炎症マーカの役割と、ARDSの病型および転帰とこれらのメディエータやマーカとの関わりを解明すべく、数多くの研究が行われてきた。しかし、ARDS以外の疾患におけるCRPによる予後予測についての論文の多さとは裏腹に、ALI/ARDS患者におけるCRPの子細については殆ど解っていない。さらにいえば、in vitro実験や動物モデル研究では、CRPが好中球の走化性を抑制したり、血管透過性を調節したりするという働きを持つことが示されており、ARDS患者においてはこのような作用が保護的な好ましいものとして発揮される可能性がある。

以上を踏まえ、ARDSにおいてCRPが果たす臨床的な意味合いを詳しく評価すべく、早期ARDS患者における血漿CRP濃度の特徴を調べることにした。教育および研究を目的とした大規模医療機関のICUにおいて前向き観測研究を行った。

方法

研究デザインと被験者登録

本研究は、現在も進行中のARDSに関する分子疫学研究の一部として行われた。1999年9月から2005年5月までの期間にマサチューセッツ総合病院ICUに収容された成人患者のうち、何らかのARDS危険因子があり、かつ、除外診断基準には該当しない患者を、ARDS発症危険症例前向きコホートに登録した。危険因子ならびに除外診断は従前のものを使用した。書面による同意を患者もしくは代理人から得た。米国―欧州合意協議会の基準に準拠しARDSと診断された患者が対象となった。本研究はマサチューセッツ総合病院の被験者委員会の承認を受けた。

データ収集

人口統計学的データおよびAPACHEⅢスコアの算出に必要なデータを調査開始前に収集した。すべての患者について、ARDS発症の有無を毎日評価した。患者がICUを退室するまでもしくはICU在室28日目のいずれかの時点までデータ記録をした。主要評価項目である60日後死亡率を求めるため追跡調査を行った。2次評価項目はBrussels基準によって算出した毎日の multiple organ dysfunction score(MODSスコア)と機械的人工呼吸器非装着日数とした。

検体収集と測定

ARDS診断基準を完全に満たした時点から48時間以内に採取した血液から得たEDTA添加血漿検体を-80℃で保存し検査を実施した。高感度免疫学的測定法(Hitachi 917 analyzer; Roche Diagnostics; Indianapolis, IN) によってCRP濃度を測定した。測定方法は検査機器製造会社の定めた手順に従った。

教訓 ARDSにおけるCRPと転帰との関係はよく分かっていません。CRPが好中球の走化性を抑制したり、血管透過性を調節したりするという働きを持つことが明らかにされています。ARDS患者においてはこのような作用が保護的な好ましいものとして発揮される可能性があります。
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