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急性肺塞栓~治療① [critical care]

Acute Pulmonary Embolism

NEJM(Published at www.nejm.org June 30, 2010)

治療

急性肺塞栓の初期治療は即効性抗凝固薬の短期投与である。その後ビタミン拮抗薬を最低3ヶ月間投与する。再発の危険性が高い症例では、さらに長期間の治療が必要である(Fig. 4)。肺塞栓の臨床的可能性が高い場合は、確定診断を得るのを待たずに抗凝固療法を開始すべきである。

大半の急性肺塞栓患者では、低分子量ヘパリンまたはフォンダパリヌクス(アリクストラ®)の皮下注もしくは未分画ヘパリンの静注のいずれかにより初期治療の抗凝固を行う。エノキサパリン(1回1mg/kgを1日2回)およびチンザパリン(175U/kgを1日1回)は低分子量ヘパリンであり、肺塞栓の治療によく使用されている。フォンダパリヌクスは1日1回の投与でよい。投与量は、体重50kg未満の患者では5mg、50~100kgの患者では7.5mg、100kg以上の患者では10mgである。未分画ヘパリンを静注する場合は、まずボーラス投与し(80IU/kgまたは5000IU)、引き続き持続静注を開始する(通常18IU/kg/hrからはじめる)。その後、APTTが正常値の1.5~2.5倍となるように投与量を調節する。

低分子量ヘパリンおよびフォンダパリヌクスは投与法が簡便なため、未分画ヘパリンより好まれている。12編の研究を対象としたメタ分析では、低分子量ヘパリンを体重に応じた投与量によって投与する方法は、未分画ヘパリンの静注と比較し、有効性および安全性に関して遜色ないことが明らかにされている。大規模オープンラベル研究において、フォンダパリヌクスが未分画ヘパリン静注と同等に有効かつ安全であるという結果が得られている。低分子量ヘパリンおよびフォンダパリヌクスは腎から排泄されるため、クレアチニンクリアランスが30mL/minを下回る患者では未分画ヘパリンの使用を考慮すべきである。以上のような抗凝固薬の使用による重篤な出血性合併症の入院中発生率は、およそ3%である。最近発表された体系的総説では、無作為化割り当てが行われていない研究11編についての考察の結果、適切な外来管理を提供できるのであれば、低リスク患者に対しては有効かつ安全に在宅治療を実施できる可能性があるとされている。しかし、この件については反対意見も示されており、在宅治療は条件が適った患者だけに限定すべきである。

Figure 4 急性肺塞栓の治療

初期治療(5日以上)
未分画ヘパリン
低分子量ヘパリン(静注または皮下注、血行動態が安定している患者の第一選択)
フォンダパリヌクス
血栓溶解薬(血行動態は安定しているが高リスクの患者)
経皮的機械的血栓除去(血栓溶解薬の絶対禁忌がある高リスク患者または血栓溶解療法を行っても血行動態が改善しない患者に限定)
手術
ビタミンK拮抗薬(妊婦および癌患者では避け、低分子量ヘパリンを選択する。

長期治療(3ヶ月以上)
ビタミンK拮抗薬(INR目標値 2.0-3.0)

長期治療の延長(癌患者、特に誘因のない肺塞栓または静脈血栓塞栓症再発例で行う。決まった期間はない。治療継続の可否は利害得失を定期的に評価して決定する。)
ビタミンK拮抗薬(INR目標値 2.0-3.0または1.5-1.9)


教訓 低分子量ヘパリンおよびフォンダパリヌクスは腎から排泄されるため、クレアチニンクリアランスが30mL/minを下回る患者では未分画ヘパリンの方が適しています。抗凝固薬の使用による重篤な出血性合併症の入院中発生率は、およそ3%です。
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