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CVCとA lineの細菌定着率は同等~結果 [critical care]

Infectious risk associated with arterial catheters compared with central venous catheters

CCM 2010年4月号より

結果

研究に参加した7ヶ所のICUにおいて2095名の患者に少なくとも1本のカテーテルが挿入され、1636名が研究対象となる条件を満たした。この1636名のうち、本研究で行う評価が可能なカテーテルが1本以上留置されたのは1525名であった。ACを1本以上留置されたのは1212名、CVCを1本以上留置されたのは1403名であった。ACとCVCの両方をそれぞれ1本以上留置されたのは1090名であった(Table 1)。

培養が行われたカテーテル本数は全部で3532本、のべ留置日数は27541日であった。ACは1617本、CVCは1915本であった(Table 2)。AC留置のべ日数1000日あたりの罹患密度は、細菌定着11.4件(n=127)および中等度以上のCRI 0.99件(n=11)であった。CHGIS非使用群ではそれぞれ17.8件(n=90)および1.6件(n=8)、CHGIS使用群ではそれぞれ6.1件(n=37)および0.5件(n=3)であった。

CVC留置のべ日数1000日あたりの罹患密度は、細菌定着11.1件(n=183)および中等度以上のCRI 1.09件(n=18)であった。CHGIS非使用群ではそれぞれ16.2件(n=123)および1.5件(n=11)、CHGIS使用群ではそれぞれ6.8件(n=60)および0.8件(n=7)であった。ACsとCVCsのあいだに統計学的な有意差は認められなかった(p=0.80)。

AC、CVCそれぞれの細菌定着についての日毎ハザード率をFigure 1に示す。ACs細菌定着のハザード率は、第5日に1.3%であったのが、第10日には2.4%、第15日には3.0%へと上昇する。ACsについては、使用期間8日未満と8日以上とで細菌定着のハザード率に有意差が認められた(p=0.008)。CHGIS非使用群のAC細菌定着ハザード率は、第5日1.9%、第10日3.8%、第15日5.5%であった。CHGIS使用群ではそれぞれ、0.8%、1.3%、0.9%であった。使用期間による細菌定着のハザード率の有意差は、CHGIS非使用群においてのみ認められた。CVC細菌定着のハザード率は、第5日1.2%、第10日1.6%、第15日1.4%であった。使用期間によるハザード率の差は認められなかった。

カテーテル留置から7日間はACとCVCの細菌定着ハザードに差はなかったが、第7日になるとACの方が高かった(p=0.0078)。留置期間8日未満の場合は、カテーテル細菌定着の罹患密度はACsとCVCsとで同等であった(のべ留置日数1000日あたりそれぞれ6.8件、8.8件;発生率の比1.28 ; 0.93-1.79 ; p=0.09)。一方、留置期間が8日以上におよんだ場合の当初7日間を除いたカテーテル細菌定着の罹患密度は、ACsの方がCVCsより有意に高かった(のべ留置日数1000日あたりそれぞれ24.5件、15.4件;発生率の比1.59 ; 1.17-2.17 ; p=0.001)。CRIに関しては、ACとCVCのあいだにハザード率の差は認められなかった。おそらくCRIの発生数が少なかったためであると考えられる。

細菌定着またはCRIの原因菌の分布については、ACsとCVCsのあいだに違いは見られなかった(Table 3)。留置部位が違ってもカテーテル細菌定着の原因菌の分布に差は認められなかった(データは掲載していない)。単変量解析では、ACの細菌定着に関与する因子は慢性心不全(p=0.004)、ICU入室時のSOFAスコア(p=0.026)およびカテーテル挿入部位(p=0.0001)であるという結果が得られた(Table 1および2)。多変量解析で判明したACの細菌定着に関与する因子は、大腿動脈からの挿入(調整ハザード比2.40 ; 95%CI, 1.66-3.49; p=0.0001)、慢性心不全(調整ハザード比2.37; 95%CI, 1.22-4.60; p=0.011)および慢性呼吸不全(調整ハザード比1.62 ; 95%CI, 0.99-2.63; p=0.053)であった。

単変量解析では、CVCの細菌定着に関与する因子は慢性心不全(p=0.031)、敗血症性ショック(p=0.002)、心原性ショック(p=0.01)、外傷によるICU入室(p=0.006)、ICU入室直後のCVC留置(p=0.003)、挿入部位(p<0.0001)およびCVC挿入時点での抗菌薬使用(p=0.0016)であった。多変量解析で判明したACの細菌定着に独立して関与する因子は、敗血症性ショック(調整ハザード比0.63 ; 95%CI, 0.41-0.96; p=0.033)、外傷(調整ハザード比1.89 ; 95%CI, 1.11-3.21; p=0.018)、CVC挿入時点での抗菌薬使用(調整ハザード比0.69; 95%CI, 0.50-0.95; p=0.021)および鎖骨下静脈以外からの挿入(内頸静脈:調整ハザード比3.09; 95%CI, 1.96-4.88、大腿静脈:調整ハザード比7.05; 95%CI, 4.37-11.35)(p<0.0001)であった。

教訓 中心静脈カテーテルと動脈カテーテルの細菌定着率は、留置期間が8日未満の場合は同等ですが、8日以上になると動脈カテーテルの方が有意に高いという結果が得られました。

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