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プロバイオティクス投与とVAP発生率~結果① [critical care]

Impact of the administration of probiotics on the incidence of ventilator-associated pneumonia: A meta-analysis of randomized controlled trials

Critical Care Medicine 2010年3月号より

結果

選定したRCT
今回のメタ分析の対象としてふさわしい文献を選定するまでの流れをFigure 1に示した。初回検索で得られた115編の文献のうち、大半がFigure 1の図中に示す理由によって除外された。3編のRCTsは、重症患者が対象に含まれていたものの人工呼吸中に肺炎を発症した患者の割合が不明であったので除外した。最終的に5編のRCTsが、本メタ分析の対象となる基準を満たした。

選定したRCTの特徴
選定した5編のRCTsの特徴をTable 1にまとめた。標本数の平均値は159名(50-300名)であった。5編すべてが2005年以降に出版されたものであった。3編が二重盲検試験、4編が単一施設試験であった。Jadadスコア(ハダッドスコア;RCTの質を評価するスコアリングシステム。最低0点、最高5点。3点以上であれば比較的質が高いことを意味する。)が3点以上であったのは3編であった。対象となった人工呼吸患者のうち外傷症例が100%であったのは2編、20%~25%であったのは2編、残りの1編では外傷症例が占める割合は10%未満であった。対象患者のICU入室時における重症度については、5編すべてで報告されていた(Table 1)。

5編のうち4編では、VAPの診断を細菌学的に確定するのには、気管内採痰の定性培養で十分であるとされていたが、1編ではVAPの確定診断には定量培養(気管内採痰、BAL、PSB[保護的標本擦過]のいずれかの検体)が必要とされていた。

研究手順
各試験におけるプロバイオティクス製剤の種類、投与量、投与方法および投与期間の詳細をTable 1にまとめた。5編のうち3編のRCTsでは同じプロバイオティクス製剤(Synbiotic 2000 FORTE; Medipharm, Sweden and Des Moines, IA)が用いられていた。このシンバイオティクス製剤には、4つの乳酸菌(プロバイオティクス:Pediococcus pentosaceus, Leuconostoc mesenteroides, Lactobacillus paracasei subspecies paracasei, およびLactobacillus plantarum)と食物繊維(プレバイオティクス:βグルカン、イヌリン、ペクチンおよび難消化性デンプン)が含まれている。残りの2編では、単一の乳酸菌のみを含むプロバイオティクス製剤が用いられていた。具体的には、1編ではLactobacillus caseirhamnosus、もう1編ではLactobacillus plantarum 299が投与された。対象となった5編のRCTsの大半で、プロバイオティクス製剤は経鼻胃管または経口胃管から一日二回投与されていた。投与期間はICU退室または死亡までであった。

3編の対象RCTsでは、プロバイオティクス群および対照群における抗菌薬の全身投与の有無が示されていた(Table 1)。各試験の対象患者の大多数(>90%)において、ICU滞在中のいずれかの時点で抗菌薬の全身投与が行われていた。抗菌薬全身投与については、両群間に有意差は認められていない(Table 1)。5編中3編で、対象患者のうち研究登録時に抗菌薬の全身投与が行われていた患者の割合(~93%)が示されていたが、2編ではこれに相当するデータは記載されていなかった。抗菌薬はVAPだけでなく、血流感染や尿路感染といった他の種類の感染を治療する目的でも使用されていた。

教訓 2005年以降、プロバイオティクスとVAP発生率についてのRCTが行われています。メタ分析の対象となった5編のRCTにおけるプロバイオティクス群と対照群のVAP発生率は、9% vs 13%、24% vs 23%、4% vs 14%、15% vs 39%、54% vs 80%でした。


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