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重症患者の凝固能低下~凝固因子の異常① [critical care]

Coagulopathy in Critically III Patients Part 2–Soluble Clotting Factors and Hemostatic Testing

CHEST 2010年1月号より

重症患者を管理する医師は、出血の危険性に対する憂慮が生ずる機会によく遭遇する。その理由は、観血的処置や抗凝固療法開始後に出血性合併症が起これば自責の念を感じるからなのかもしれないし、あるいは、出血は一目瞭然であることが多いからなのかもしれない。その上、凝固能の異常についての懸念を医師に抱かせるような検査結果があれば、余計に出血に対する警戒は高まる。残念ながら集中治療専門医の多くは、凝固能検査や凝固能障害の評価を行うことには長けていないし、そのような訓練を受けているわけでもない。重症患者の凝固能低下についての2部にわたる論文の後半にあたる本稿では、可溶性凝固因子のことと、成人ICU患者において頻度の高い凝固能異常について概説する。本論文では血友病については詳解しないが、血友病についての知識を深めれば、止血機能検査について理解し、臨床でよく行われる凝固能検査の解釈を行う上での土台を築くことができる。

古典的凝固経路の評価

重症患者管理に携わる医師の多くは、凝固経路については皮相的な知識しか持ち合わせていない。覚えるのが難しく、専門用語がたくさんあってごちゃごちゃしているからである(Table 1)。その上、毎日の臨床では凝固経路についての詳しい知識は必ずしも必要ない場合がほとんどである。凝固因子の番号は発見順につけられているので、活性化が起こる順番とは関係のないばらばらな番号になっている。さらに、血液が固まる道筋には二つの異なる経路があるという概念が昔から連綿と教えられてきたが、これは不自然で誤った理解を招く考えである。体内では、組織因子経路(以前は外因系経路と呼ばれていた)が活性化されることによって生理的な血液凝固が起こる。この過程は、接触活性化経路(以前は内因系経路と呼ばれていた)によって増強される。二つの別々の経路が途中で合流するという捉え方は、検査室で観察される一連の現象としての凝固を理解することを主な目的として普及した。とは言え、この二つの経路を理解しなければ検査結果を正確に解釈することはできないし、偽陽性の結果を真の陽性と捉えて不必要な対処を講じたり検査を行ったりすることを避けることはできない。例えば、医師によっては活性化部分トロンボプラスチン時間(APTT)とプロトロンビン時間(PT)を習慣的に混同し、不必要な検査や間違った解釈を行っていることがある。

教訓 体内では、組織因子経路(以前は外因系経路と呼ばれていた)が活性化されることによって生理的な血液凝固が起こります。この過程は、接触活性化経路(以前は内因系経路と呼ばれていた)によって増強されます。


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