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敗血症患者の代謝性アシドーシス~結果 [critical care]

Metabolic acidosis in patients with severe sepsis and septic shock: A longitudinal quantitative study

Critical Care Medicine 2009年10月号より

結果

2004年9月から2005年11月までに当院ICUに入室した患者60名を対象とした。全例が、当院救急部からの入室であった。Table 1に患者の背景因子を示した。対照データは平均年齢34±6歳の健康ボランティア10名から得た(男性8名、女性2名)(Table 2)。Table 2には、初日と最終日の患者データも掲載した。結果は全て、病院内で死亡した患者と生存していた患者とに分けて示した。対象患者は全員、ICU入室時から研究終了時まで血清アルブミン濃度が4g/dL未満であった。入室時血清アルブミン濃度は、生存群が2.47±0.50g/dL、死亡群が2.19±0.54g/dLであった(p=0.06)。

入室時の血清ナトリウム濃度は、生存群が140±5mEq/L、死亡群が140±5mEq/L (p=0.728)であり、血清塩素濃度は、生存群111±7mEq/L、死亡群115±8mEq/L (p=0.048)であった。研究最終日の血清ナトリウム濃度は、生存群が141±4mEq/L、死亡群が141±5mEq/L (p=0.890)であり、血清塩素濃度は、生存群112±6mEq/L、死亡群115±6mEq/L (p=0.039)であった。健康ボランティアではいずれも正常値で、ナトリウム141±1mEq/L、塩素106±2mEq/Lであった。

院内死亡率についての単変量解析および多変量二項ロジスティック回帰モデルの結果をTable 3に示した。酸塩基平衡に関する量的変量以外の独立変量を、臨床的重要性を鑑みて選択した。多変量解析で用いた独立変量は、APACHEⅡスコア、入室時の敗血症性ショックの有無、SOFAスコア、血清クレアチニン濃度、SBE、無機イオン差、血清アルブミン濃度、および血清リン濃度である。多変量解析の結果、このうちAPACHEⅡスコア、血清クレアチニン濃度および無機イオン差が、院内死亡の独立予測因子であった。

対象患者のうち5日以上生存したのは48名であった。この生存患者群については、逐日解析を行った。酸塩基平衡に関わるパラメータの逐日変化をFigure1およびFigure 2に、生存群と死亡群それぞれについて示した。Figure 3には、5日以上生存した患者における、各構成成分のSBEへの寄与分を示した。研究初日から第5日までの腎機能の指標を、Figure 4に示した。

教訓 SIDa(見かけのSID) = [Na+] + [K+] + [Mg2+] + [Ca2+] - [Cl-] - [lactate]. は、無機イオン差([Na+]+[K+]+[Mg2+]+[Ca2+]−[Cl−])と血漿乳酸濃度とに「分割」されます。多変量解析で院内死亡の独立予測因子であったのは、APACHEⅡスコア、血清クレアチニン濃度および無機イオン差でした。敗血症患者では、ICU入室時に無機イオン差が低下しています。
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