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一回換気量<6mL/kg+ECMOで肺保護~方法① [critical care]

Tidal Volume Lower than 6 ml/kg Enhances Lung Protection: Role of Extracorporeal Carbon Dioxide Removal

Anesthesiology 2009年10月号より

方法

患者の選別
S. Giovanni Battista-Molinette病院(トリノ大学)のICUに、2006年7月から2007年9月のあいだに入室した患者のうち、年齢18歳以上でARDSの診断を受けた者を対象とした。除外基準は、ARDS診断基準合致後3日以上経過、PAOP>18mmHg、心室細動を既往、頻脈性不整脈、不安定狭心症もしくは先行する一ヶ月以内の心筋梗塞、COPD、胸郭異常、胸腔ドレーン、腹部膨満、BMI>30、妊娠および頭蓋内病変とした。


研究プロトコル
基準を満たした患者は全例連続的に登録し、ARDSNetの方法に従った治療を72時間実施した。プロトコルの詳細はSupplemental Digital Contentに掲載した。

ARDSNetの方法に従った治療を72時間実施した後に、自発呼吸を出さないようにしつつ人工呼吸設定を一定にした状態で、0.5秒の吸気ポーズを設け1時間にわたりPPLATを測定した。以下の方法で自発呼吸を出さないようにした:(1) Ramsay鎮静スコア5とする(ミダゾラム0.15mg/kg/hrまで、モルヒネ0.03mg/kg/hrまで、プロポフォール2mg/kg/hrまで投与);(2) 必要であれば測定に先立ちミダゾラム(~10mg/hr)and/orプロポフォール(10分ごとに150mg/hrずつ)増量。
25< PPLAT <28cmH2Oの患者においては、引き続きさらに少なくとも72時間はARDSNetの方法に従った治療を継続した(fig. 1)。28≦PPLAT≦30cmH2Oの患者においては、以下の手順で引き続く72時間の治療を実施した(fig. 1) : (1) 25< P PLAT <28cmH2Oとなるまで一回換気量を段階的に減らす(4時間ごとに1mL/kg PBW);(2) 低一回換気量の人工呼吸に伴う吸収性無気肺を防ぐため、ALVEOLI研究の高PEEP群に適用された方法に従いPEEPとFIO2を設定する。;(3) 呼吸数は最高40回/分まで増やし、炭酸水素ナトリウム最高20mEq/hrを投与する。;(4) それでもpH<7.25であれば、膜型肺(膜表面面積0.33平方メートル、DecapⓇ, Hemodec, Salerno, Italy)を装備した改造CVVH回路を用いて、体外循環による二酸化炭素除去を開始する(ARDSNetよりも低一回換気量で体外二酸化炭素除去を行う;Lower ARDSNet/Carbon Dioxide Removal strategy)(fig. 2)。

大腿静脈からセルジンガー法でダブルルーメンカテーテル(14Fr.; Arrow International Inc. Reading, PA)を挿入し、体外循環回路に接続した。体外循環回路内では無閉塞低速ローラーポンプ(0-500mL/min)が駆動し血流が生成され、回路内の血液は8L/minの100%酸素に接続された膜型肺(Polystan SAFE; Maquet, Rastatt, Germany)を通過した。膜型肺通過後、血液はヘモフィルタ(Medica D200, Medolla, Italy)へ送られた。ヘモフィルタ通過によって生じた血漿水分は、蠕動式ポンプ(0-155mL/min)を用いて膜型肺から返還した。


膜型肺とヘモフィルタを直列に接続した目的は以下の通りである:(1) 膜型肺より下流にヘモフィルタを設置することによって膜型肺内部の圧を上昇させ、気泡形成の危険性を低下させる。;(2) ヘモフィルタ通過によって分離された血漿水分を上流へ返還することによって膜型肺を通る血液が希釈されるのでヘパリン投与量を最小限に留めることができる。;(3) ヘモフィルタで分離された血漿水分を膜型肺へと戻せば、血漿に溶解している二酸化炭素を再度除去することができるので、体外循環による二酸化炭素除去能が向上する(fig. 2)。

ローラーポンプによって生じる圧(動脈圧)は測定の上、120-150mmHg以下に維持した。体内への返血圧(静脈圧)と膜型肺およびヘモフィルタ前後の圧勾配(圧損失=膜型肺上流圧-静脈圧)も測定した。回路中に血液漏出および気泡を検出する装置を設置した。膜型肺を含む全回路は、140~160mLの生食でプライミングした。


開始時のヘパリン(80IU/kgボーラス後18IU/kg/hr持続投与)は、回路内に設置されたシリンジポンプを用いて投与した。その後、APTT比がおよそ1.5となるようにヘパリン投与量を調節した。

ARDSNetよりも低一回換気量の人工呼吸と体外二酸化炭素除去を行う治療法を72時間実施した後、次のような手順による体外循環離脱を一日一回試みた:回路血流を最低量(50mL/min)にする、一回換気量を6mL/kg PBWに増やす、PEEP-FIO2をARDSNet研究で行われたのと同じ設定にする。以上の設定変更の結果、PPLATが3時間以上28cmH2O未満を保つことができれば、体外循環による二酸化炭素除去を中止し、ARDSNetの方法に従った人工呼吸管理を継続した。

教訓 ALVEOLI研究高PEEP群と同じやり方が、本文でARDSNetの人工呼吸法と書かれている方法です。


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