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高効率CHDFは転帰を改善しない~結果 [critical care]

Intensity of Continuous Renal-Replacement Therapy in Critically Ill Patients

NEJM 2009年10月22日号より

結果

患者登録
2005年12月1日から2008年8月31日までのあいだに1508名の患者を登録した。そのうち747名を高強度治療群、761名を低強度治療群に割り当てた(Fig. 1)。43名(2.9%)が登録後に研究参加同意を保留または取り消した。そのうち25名は高強度治療群、18名が低強度治療群に割り当てられていた。追跡不能になった患者は1名のみであり、1464名(97.1%)について主要転帰項目の検討を行うことができた。

基準時点における背景因子
基準時点における背景因子は両群間で同等であった(Table 1)。無作為化割り当て前の血清クレアチニン濃度は、高強度群が3.8mg/dL、低強度群が3.7mg/dLであった。患者全体の73.9%に人工呼吸管理が行われ、重症敗血症の患者は49.4%、血管作動薬を投与されたのは82.5%であった。

研究対象治療および補助治療
研究対象治療法の実施状況をTable 2にまとめた。平均治療期間は両群で同等であったが、割り当てられた治療を行っている期間中の平均血清クレアチニン濃度(高強度群1.9mg/dL vs. 低強度群2.3mg/dL, P<0.001)および平均BUN値(高強度群35.6mg/dL vs. 低強度群44.5mg/dL, P<0.001)には有意差が認められた。この差は腎代替療法の強度に起因するものと見て矛盾はなかった(高強度群の平均浄化量33.4mL/kg/hr vs. 低強度群の平均浄化量22.0mL/kg/hr; P<0.001)。高強度持続的腎代替療法の群では、ヘパリンとプロタミンを用いた体外回路内局所抗凝固療法が行われた症例が多く(P=0.007)、一日あたりのヘモフィルタ使用個数も多かった(0.93 vs. 0.84, P<0.001)。高強度群の7.6%、低強度群の7.0%のみがICU滞在中のいずれかの時点で間欠的透析を行われた。無作為化割り当て28日後までに総計314回の間欠的透析が実施された。

治療の限界
死亡例のうちICUにおける治療の限界と見なされたのは、高強度群322名中289名、低強度群332名中301名であった(それぞれ89.8% 、90.7%; P=0.52)。この中で、死が目前に迫っているとして治療が中止または縮小された患者は、高強度群322名中219名、低強度群332名中232名であった(それぞれ68.0%、69.9%; P=0.49)。さらに濃厚な治療を行う適応はないと考えられ集中治療の実施が差し控えられたのは、高強度群では70名(21.7%)、低強度群では69名(20.8%)であった。

主要転帰
無作為化割り当て90日以内に死亡したのは、高強度群721名中322名(44.7%)、低強度群743名中332名(44.7%)であった(高強度群のオッズ比1.00; 95%CI, 0.81-1.23; P=0.99)(Table 3およびFig. 2)。予め設定したサブグループのいずれにおいても、死亡率は両群同等であった(Fig. 3)。

研究対象治療による合併症
高強度群では、当該施設の研究参加者が、研究対象治療に起因すると判断した重篤な有害事象が7件発生した(不均衡症候群3例、脳浮腫1例、直腸出血1例、心停止1例および低ナトリウム血症の急速すぎる補正1例)(Table 4)。低強度群では5件であった(ヘパリン起因性血小板減少症3例、低酸素血症1例および心原性ショック1例)。高強度群の461名(65.1%)、低強度群の396名(54.0%)に低リン血症が認められた(P<0.001)。

教訓 90日以内に死亡したのは、高強度群721名中322名(44.7%)、低強度群743名中332名(44.7%)で有意差は認められませんでした。
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